2014.9 NO.39  かせいふみた と かせいふみた

 女優市原悦子さんの主演で19837月を初回としてテレビ朝日系で人気シリーズ化したのが、ドラマ『家政婦は見た!』。市原さんが扮する主人公が「大沢家政婦紹介所」から上流家庭に家政婦として派遣されるのであるが、その家政婦紹介所のモデルが介護事業所の大手㈱やさしい手の前身()大橋サービスと言われている。㈱やさしい手を紹介した本によれば、社長の香取眞恵子さんは、それまで個人事業であった家政婦紹介所を法人経営にした先駆者で、しかも女子学生事業家のはしりということだ。

 私は、公益法人に勤務していた頃、飛び込みで㈱やさしい手の門をたたいた。㈱やさしい手の香取社長は、こちらをやましい手の者のようにはすこしも疑わず、快くお会いしてくれた。そして、こちらの表彰事業に賛同し数年協賛いただいた。今も感謝している。

 

 日本テレビ系列で201110月から放映されたドラマ『家政婦のミタ』のタイトルは、当然『家政婦は見た!』をオマージュして付けられている。

 TBSドラマ『半沢直樹』に抜かれたとはいえ、最終回は視聴率40%と20%を超えるのが難しい昨今では脅威的なヒット作となる。テレビ離れが進んでいるとはいえ脚本が良ければ数字はとれるのだということを再認識させられた。

 主人公に扮する松嶋奈々子さんが言う決まり文句「承知しました」はその年の流行語大賞に選ばれてほしいと思った。が、放映の時期が遅かったためか、ノミネートには至らなかった。

 最近若者を中心として目上の人にも平気で「了解しました」を使っている。我妻は携帯メールで私に向かって「了解です。」と返信してくる。「承知しました、ご主人様!と書くべし」と返信すると、「バカ」と切って捨てられた。知人に話すと、「力関係からすると了解で良いのじゃないか?」とまぜっかえされてしまった。長男はもっとひどく、「了解!」の一言。会社の上司にも了解と返事しているのかと長男に注意した。

 違和感を覚えるのは私だけではなく、世の中高年も同じ思いをしているらしく、週刊誌に採り上げられた。20121214日号の週刊ポストの連載『現場の磁力』で【「了解しました」といってはいけない】と題し、「了解には敬意が含まれていない」と解説している。他誌も【あなたの「日本語」は間違ってます】と題し、うっかり口にしがちな「本当は失礼な物言い」に対し、いの一番に「了解しました」を挙げている。

 かく言う私も講師への礼状の末尾に「ご自愛ください」とよく書いたが、本来上から下に書くものとは知らなかった(今はどちらからでもよいとの意見もあるが)

「生き様」は、本来自身が卑下して使うものだが、他人の立派な生き方にも使うように変わってきたことを最近私が所属する業界団体の研修で知った。

当業界は完全と言っていいほどの受注産業なので、初心者向けの研修において上記記事も活用し、マナー教育にも力を入れている。


 19837月に始まった『家政婦は見た!』から201112月に終わった『家政婦のミタ』まで28年が経過し、その間に、看護婦は看護師に呼称変更された。

 家政婦は30年近く経っても家政婦のままだ。ジェンダーフリーの闘士らは、男の家政婦が増えているのをご存じないのか。それとももう満足されたのか。

数年前某医学会の創立記念の懸賞論文に応募した。賞にはかすりもしなかったが、前立腺生検の体験を題材とした原稿の中で私はこう書いた。

「・・・今回の生検で検査当日一泊したが、検査なのに看護婦さんが夜通し定期的に様子を見に来てくれた。夜勤の任務とは言え、頭が下がる。これまでにも胆のう摘出とか何度か入院を経験したが、その度に看護婦さんに感謝した。下の世話というよりも苦痛や不安に対して癒してくれる役割は女性ならではのものと思う。ジェンダーフリーかなんか知らないが、私は看護師とは言わない。親愛と深い敬意を表して今でも看護婦さんと呼ぶ。・・・」

 週刊文春の連載『悩むが花』で作家の伊集院静氏が看護婦と呼ぶ方がいいと書いておられ、意を強くした。

 テレビ東京系で『YOUは何しに日本へ』と言う番組がある。外国人から日本が好きだと言うのを聞くと何げに嬉しくなる(こんな私でも愛国心があるのか)。ある回同性愛らしき男のカップルが来日し、その一人が職業を聞かれた時ナースと答えた。いわゆるオカマなのでナースと答えたのかと疑問を持ち、Nurseを調べると看護婦とあり、男性にも使うと書いていた。英国はなんと! SisterBrotherにしてと言う野暮な英国紳士はいないのだろう。

 男女平等に今更異を唱える人はいない。だが、男と女は同一ではない(男が子供を産むまで私は認めない)。女性固有の呼称はあってしかるべきではないか。

 英国のエリザベス女王様も、何とか仰っていただくとありがたいのだが。