2011年7月 NO.1  ス VS

 人間のオスとメスの話。夫は妻に先立たれるのかストレス。妻は夫がいるのがストレスといわれる。私の母もそうだが、妻はさすがに夫が死んだとき6ヶ月ほどは意気消沈しているが、その後は元気溌らつオロナミンCを飲んだかのように以前より元気になり、長生きする。
夫は生きる意欲をなくし、後追うがごとく逝ってしまうことが多い。作家の大先生を見ても、城山三郎著『そうか、もう君はいないのか』、川本三郎著『いまも、君を想う』など感涙の追想記を書かれている。男どもは女々しいと言われても、私も7つ年下の妻に先立たれないことを切に願っている。
 
数年前神戸高校の同じ学年の卒業生で東京同窓会を行なったとき、バツ1のキャリアウーマンが、酔いにまかせて吼えた。「男は年の離れた若い女の子と再婚したりできるのに、女はなぜ若い男の子とデートすらできないの」と。
 こんな時、答えずやり過ごすのがよき大人の作法というもの。ところが小生は「ぺタージー二夫妻(プロ野球の助っ人外国人選手の彼は友達のお母さんと結婚した)は気持ち悪いやろ」と言わんでいいことを言い、科学的根拠のない自説を展開する。「よい子孫を残すには古い種(限度はあるが)と新しい畑の組み合わせが最適。だから、本能的に男は若い女を欲しがり、逆に女はかなり年上の男も守備範囲となる」と言って場をしらけさせる。
 兵庫県立神戸高校は、神戸一中の時代は東京の一中と肩をならべる名門校。終戦後GHQにより男女共学にさせられ(一中OBによると昭和天皇が行幸されGHQに睨まれたとのこと)、半数近くの男子が私立灘高校に移り、そこから東大進学校として灘高の快進撃が始まることにつながるとか。
 
神戸高校の卒業生には、俳優の高島忠夫氏がいる。経済界では白洲次郎氏やソニー会長の井深大氏。作家では今東光氏、小松左京氏など。男性に著名人が多いが、女性では、扇千景さん(元参議院議長)や樺美智子さん(安保闘争で死亡)。
 ネットのWikipediaを見ると、同期生では、ホリエモン事件でホワイトナイトとして登場した北尾吉孝君が掲載されているが、我ら神高21回生の中ではなんといっても笹子三津留君だ。彼は高校時代からのスターで、勉強もトップ、陸上短距離でも一番、カンツォーネも歌いこなし、秀才とはかくあるべしの典型。卒業した昭和44年は学生紛争で東大入試がない年で、翌年東大医学部に入りなおした。留学先のオランダでは外科学会の金メタルを受賞した。
国立がんセンター時代では週刊誌でよく胃がん手術の名医として紹介されているが、臨床医の道を選び、患者と二人三脚で病気に立ち向かう真摯な姿には頭が下がる。
今は高校の同級生の医師に請われ、兵庫医科大学の教授に転出している。笹子君こそWikipediaに載るにふさわしい。
 
毎年のようにノーベル文学賞候補にあがる作家村上春樹さんは2学年上の先輩にあたる。偉大な先輩に敬意を表してベストセラー『1Q84』も読ませていただいたが、還暦をゆうに過ぎているというのに、湧きいずる泉のごとく文章がほとばしるその才能、気力にはメモしか書けない私は驚嘆するばかり。
物語は♂の天吾と♀の青豆と交互につづられているが、文学の素養もなく俄かファンの私には今ひとつ内容が理解できないというのが正直な感想だ。