ことばの物語
〖日常の仏教語〗 5
威儀 いぎ
「威儀を正す」というと、身なりや形を整えて、作法
に叶った立ち居振る舞いをすることを言いますが、
「威儀」は、もと仏教語で「僧侶の正しい振る舞
い、戒律に叶った起居動作」のことであります。
起居、つまり行・住・坐・臥の「四威儀」であります。
※「行・住・坐・臥」
行く・止まる・坐る・臥せる(寝る)の日常の立ち
居振る舞いであります。
最も注意を要するのが、他人の目がないとこでも
態度を正しく保つこと、「独りを慎む」ということで
すね。(常に身を律することですね。)
威儀師という僧籍がありますが、これは儀式を厳粛
に滞りなく執り行うための指示を与える役を務める
僧のことであります。
無事 ぶじ
とりたたて変わった事がないこと・身の上に悪いこと
起きないこと。
仏教語で「外に求めるものがないこと」で、本来人
には仏性が備わっているので、外に仏を求めるもの
がないこと。(自分自身の中にある仏性に気付きなさ
いということでありますね。)
おさな子の しだいしだいに知恵つきて
仏に遠くなるぞ悲しき (梁塵秘抄)
無常 むじょう
人の世が変わりやすいこと。命の儚いこと。
行く川の流れは絶えずして しかももとの水に
あらず
淀に浮かぶうたかたは かつ消えかつ結びで
久しくとどまりたるためしなし
世の中にある人と栖とまたかくのごとし
・・・・・・・・
所も変わらず人も多かれど いにしえ見し人は
二、三十人が中に 僅かに一人二人なり
朝に死して夕べに生まるる慣らひ
ただ水の泡にぞ似たりける (方丈記)
仏教語では「諸行無常」と言われ、あらゆる現象、
存在は常に変化し滅するもので、不変なものはな
いとであります。
※「諸行」は因縁によって生じる全ての現象。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり・・・
(平家物語)
※祇園精舎は中インドの南にあった釈迦と教団
の僧坊。
無情 むじょう
こちらの「むじょう」は思いやりや同情心のないこと。
仏教語では「心の働きがない草木や石などの無生
物」。
※対語が「有情(うじょう)」で、主に衆生を指します。
無心 むしん
木石のように心を持たないこと・遠慮なく人に金品
をねだること。
仏教の禅語で「心の働きが休止し、一切の妄想と
執着を取り除いた状態」のことで、ここに至ると物事
をそのまま受け入れるでき、対象と一体化ができる
と。(無念無想)
無念 むねん
くやしい・口惜しい・残念なこと。
仏教では「無我の境地」であり、執着の無いとら
われを去った思いであります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房・井上義昌編
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫
ニッポンの謎学/永岡書店
漢字の話し 上め下/藤堂明保著・朝日選書
