ことばの物語
〖腹の虫〗
「腹の虫」といっても寄生虫感染症のはなしでは
ありません。
そういえば寄生虫感染症の話し、聞かなくなり
ましたね。昔は「虫下し」という薬があって、子供
のころ飲まされた記憶があります。
この「腹の虫」は古代中国の伝承のお話しであ
ります。
中国の道教では、人には生まれた時から体内
に三つの虫(三尸・さんし)がいて、体に害をなす
と考えられていました。
上尸という虫は彭倨(ほうきょ)、中尸は彭質、
下尸を彭矯(ほうきょう)というそうで、それぞれ
頭部、腹中、下肢に宿っていると。
一年間六回訪れる庚申の日に、昼夜寝ない
でいると三尸は滅んで精神が安定して、長生
きすると。
怒りや不満が抑えられない時「腹の虫がおさま
らない」といいますが、それはこの三尸の虫の
中尸の仕業だそうですよ。
庚申信仰
中国の晋の葛洪の『抱朴子』にある話しから生
まれましたと。
<この三尸は庚申の日に天に昇って寿命を司
る神に、その者たちの過失を報告し早死にさ
させようとする。その為、庚申の日には終夜
警備のために寝ずの番をする。>
このお話しから民間信仰となり、庚申の夜は
寝ないという風習が生まれたと。
※庚申の日とは、十干十二支(干支)を組み合
わせた暦によるもので、60日で一巡します。
60日×6=360日で、年に6回はあります。
病膏肓に入る やまいこうこうにいる
病がひどくなり、治療のしようがなくなるという
ことですね。
※肓は盲でないことに注意。
[膏]は心臓の下の部分。
[肓]は横隔膜の上の部分。
身体の奥に在り、薬や針も届かないとされて
います。
『春秋左氏伝』に次のような話があります。
晋国の景公が病になり、秦から名医を呼ぶこと
にします。
そんな時、景公は次のような夢を見ます。
<病の精が二人の童子になって「名医が来る
らしい。膏の下と肓の上に隠れよう」話して
いました。>
医者が到着し、景公を診察して言います。
「膏と肓の間に病気があり、薬も針も届かな
いので治療の使用がありません」と。それから
間もなくして景公は死んでしまいました。
病気の精も人に寄生しているということですね。
(遺伝的な病はまさに生まれながらに寄生して
いるということでしようね。)
腹の虫を殺す
これ、フランスのことわざて、酒を飲むことの意味
に使われた言葉だと言われます。
ラ・ヴェルナード卿の妻が急死にました。
死体を解剖してみたところ、心臓に生きた虫が
いてその虫が心臓に穴をあけていました。そこで
試しにブドウ酒を染み込ませたパンの上にその
虫を乗せてみると、たちまち死んでしまいました。
このことから特に気候の悪い季節には、虫がつ
くのを恐れて、毎朝パンと葡萄酒を取る習慣
ができたと。
引用:「ことばの豆辞典」角川文庫
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房・井上義昌編
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
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一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
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親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫
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