ことばの物語
〖狐・狸〗
きつねとたぬき
「狐狸=こり」というと、人を騙しこそこそと悪事をす
る者のことであります。
昔から「狐七化け、狸は八化け」と言われてきました。
小説家・遠藤周作の別ペンネームは「狐狸庵山人」
であります。
〖狐〗きつね・コ
漢字の成り立ちは「犭=けものへん」に「瓜=うり・ひ
さご」で、頭部が小さく後尾の大きく膨らんだ、ひさご
形をした獣。
※「ひさご」は瓢箪(ひょうたん)の和名。「ひくべ」は
瓢箪の容器。
狐は狐疑という言葉があるように、疑り深い獣と
されています。
『説文解字』には「狐は妖獣なり、鬼の乗ずるとこ
ろなり」とあり、百歳の狐は人にばけてたぶらか
すという。
『山海経』に出てくる九尾の狐は子孫繁栄、瑞
祥の象徴であるが、日本に伝わると玉藻の前
に化身する妖怪となった。
(「動物の漢字辞典/加納喜光・東京堂出版」)
和訓の「キツネ」の語源は「キツキツ」と言う鳴き
声に神道の尊称「ネ」がついたものだそうです。
〖日本霊異記〗に「狐を妻として子を生
ませた縁」
と言う話があり、そこに「キツネ」の語源が書かれて
いますが?
<人間の女に化けた狐が人間の男と結婚し、子を
産みますが、その狐の正体がばれます。
男はその狐に「私とお前の間に子が生まれた。
私はお前を忘れることが出来ない。いつも来て
共に寝よう」といいます。そして狐は枚よ訪ねてく
るようになります。これから「来つ寝」と呼ぶように
なったと。>
日本に狐が人を騙すという話が伝わったのは、仏
教伝来とともに、中国の九尾の狐、妖狐の話しが
伝わってからだそうです。
狐が人を騙すということの前は、狐は泰平の時
や聖君が現れる時の瑞獣とされていました。
日本でも、狐は稲荷神社の祭神・宇之御霊神の
神使いとされ、密教が伝来すると、密教神・荼枳
天(だきにてん)の乗り物が狐であるところから稲荷
神と習合します。
〖玉藻の前〗たまものまえ
九尾の狐は中国の殷王朝の紂王をたぶらかせた
妲己となり、インドに逃げてインドのマガタ国の斑
足王の王妃となり、日本にやって来て玉藻の前
となって鳥羽上皇に寵愛されます。
その後、鳥羽上皇はしばしば病に伏すようにな
ります。話によると、安倍晴明が玉藻の前の正体
をみやぶり、玉藻の前は九尾の狐の姿を表わし、
逃げていきます。追討の兵が出され、とどめを刺
されますが、九尾の狐は石となって毒を発し人
を殺すようになります。これからその石は「殺生石」
と呼ばれるようになります。
最終的に、玄翁という高僧がこれを鉄槌で砕いて
消滅させたと。
※大工道具の鉄槌の一種を「玄翁」というのはこ
れによるものであります。
〖葛葉〗くずのは
安倍晴明伝説で、晴明の母とされるd白狐。
<和泉の国・信太の森で狩人たちに追われて
いた白狐を阿倍保名(晴明の父)が助けますが、
その時とき保名は傷を負います。
保名の前に美しい女性が現れ、保名の傷の手
当てをします。そして介抱に通ううち、恋仲とな
り結婚し、子・童子丸(晴明)が生まれます。
幸せな時は長く続かず、葛葉の正体がばれて
しまいます。
白狐の葛葉は次の歌を残して去っていきます。
恋しくば 尋ね来てみよ
和泉なる信太の森の
うらみ葛の葉
その夜、保名は童子丸を連れて信太の森を訪
れると、一匹の白狐現れ一瞬葛葉の姿を現わ
し、水晶の玉と黄金の箱を童子丸に渡し、森の
奥へと去っていきました。
この狐は稲荷大明神の使いで、授けた品々は
稲荷大明神から賜った霊力の形見であったと。>
〖狸〗たぬき・リ
漢語の「狸=リ」は、本来は「ヤマネコ」のことで、
日本に伝来した時「タヌキ」と間違えられて、定着
したもので、誰でも日本では「狸=タヌキ」であり
ます。
漢語のタヌキは「狢」で和訓は人を騙す妖怪「む
じな」となります。
【狢のだまし方】
〇田谷や道を深い川とおもわせる。
〇馬糞を饅頭と思わせたり、肥溜めを風呂のよう
に思わせる。
〇方向感覚をなくさせる。
この内容は、子供の頃に狸の仕業と聞きました。
これぞ、狢と狸が混ざり合った「同じ穴の狢」とい
うことですね。
「タヌキ」は驚くと仮死状態ななると。
中国で「睡を好む獣」とされ、寝ることを「狸睡」と
いいうと。また、アナグマと同じ穴に棲むとされ、
これが「同じあなの狢」の由来であります。
※日本では「狢」は「アナグマ」のことでもあります。
和訓の「たぬき」はこの動物の毛皮で手貫(た
ぬき)が作られていたところからであります。
※「手貫」は元゜道で使われる小手の部分を覆っ
ている物。
(参:・「動物の漢字辞典/加納喜光・東京堂出版」)
狐は賢くて、よく妖艶な女性に化けますが、狸
の化け方は、はどこか間が抜けてユーモラス
でありますね。→ぶんぶく茶釜など。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
<ギリシア神話>
ギシシア・ローマ神話 ブルフチン著 岩波文庫
ギリシアの神話 (神々の時代)
(英雄の時代) カール・ケレーニ 中公文庫
ギリシア神話 上・下 呉茂一 新潮文庫
ギリシア・ローマ神話辞典 高津春繁 岩波書店
ギリシア・ローマ神話辞典 大修館書
店
ギリシア・ローマ神話 マイケル・マクローン 創元社
ギリシア神話物語百科(ヴィジアル版) 原書房
ローマ神話物語百科(ヴィジアル版) 原書房
世界の神話百科 アーサ・コットレル 原書房
神の文化史事典 白水社
100の神話で身につく一般教養 白水社
ギリシア神話シンポル事典 白水社
世界神話辞典―創世神話と英雄伝説ー
角川ソフィア文庫
【入門書のおすすめ】
ギリシャ神話解剖図鑑 株式会社エクスナレッジ
キリシャ神話の教科書 東ゆみこ監修 ナッツ社
<漢字の参考書>
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫
