ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖唇亡歯寒〗
しんぼうしかん
唇亡んでは寒し
「唇がなくなると、それにまもられていた歯は寒くなる」
ということですが、これは互いに助け合っていた一方
が崩れ亡びると、もう一方も孤立して危うくなってし
まうたとえであります。
<『春秋左氏伝』にあるお話し。
大国の晋が「かく」という小国を攻めるために、「虞」と
いう小国に軍勢が通過することを求めてきました。
虞の君主はそれを許可しようとしますが、この国の大
臣は「唇亡んで歯寒しという諺があります。今は「かく」
と我が虞国はその関係にあります。」といって、共倒れ
を危惧して反対をします。にもかかわらす、愚の君主
は晋の申し入れを許可してしまいます。そして、晋は
「かく」を滅ぼしてしまいます。
やがて晋の勢力は虞国にも及び、やすやすと虞国は
滅ぼされてしまいました。>
≪仏教語≫
〖我他彼此〗
がたぴし
「この戸はがたぴししてうまく開かないね」なんていいま
すね。建付けが悪くて、音を立てて騒がしくきしむさま
であります。
これから、人間関係や組織運営が円滑に進まないこ
とを言うようになりました。
これは仏教語からであります。
まず、この言葉を分解すると「我(自分)と他(他者)」と
「彼(かれ)と此(これ)」ということになります。
対立・衝突関係を表し、これを「彼他彼此の見」といい、
個を個としてのみ把握して、根源的な万物の同一性
を見失っていることをさします。
≪漢字の勉強≫
我ーわれ・わ・ガ
「刃物の先がぎざぎさしたほこ(戈)」の形で、借りて
われの意味を表す。
※「我」が「われ」として用いられたことから、本義
を表すために「鋸=のこ・キョ」が作られました。
「我」が「のこ」の意味で用いられている字が「義・
犠」で、生贄の羊や牛を鋸(我)で切ることを表して
います。
他ーほか・ダ
原字は「佗」。
頭の大きなヘビを描いた象形で。「蛇」の原字。
昔、蛇の害がひどかったところから、人の安否をたず
ねて「蛇無きや」と言ったそうです。このように変異を
問うことが転じて、見慣れぬこと、ほかことのの意と
なりました。「ほかに何が問題なかったか」のような
ことですね。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
