ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖呉越同舟〗
本来は仲の悪い者同士でも、共通の困難や利害
のために協力したり助け合ったりすることのたとえ。
(同じ船に乗って、風雨が吹き荒れ舟が沈みそうにな
ると、互いに協力し合いますよね。)
<呉と越は中国の春秋時代の隣接する国で、争い
が絶えませんでした。
まず、呉王闔閭(こうりょ)が越王句践(こうせん)に敗れ
ます。
闔閭の子・夫差は父の仇を討つために忘れないよ
うに、毎日薪の中に寝てそれを忘れないようにして
準備して、会稽山に句践を破ります。
今度は句践が「会稽の恥」を忘れないように、苦い
胆を毎日甞めて機会を待ち、参謀の范蠡の力を得
て数年後に夫差を会稽山に破ります。
この戦略は夫差を堕落させるために贈った絶世の
美女西施でありました。謀は功を奏し夫差は西施に
うつつを抜かし、国政を顧みらず衰退させます。そこ
に攻め入って呉を滅ぼしてしまいます。>
このお話から生まれたのが『臥薪嘗胆』『会稽の恥を
雪(そそ)ぐ』であります。
※『西施』は王昭君、貂蝉(てんぜん)、楊貴妃と合わ
せて中国の四大美人といわれます。
彼女が川で洗濯している姿を魚が見て、魚はその美
しさに泳ぐのを忘れしまったと。これから「沈魚美人」
と称されます。
<仏教語>
〖玄関〗
建物に設けられた出入口ですが、もとは「玄妙なる
道に入る関門」という意味で、特に前門で用いられ
ました。
「碧巌録」にいわく「奥深い伝道への入り口」とあり
これが仏教語として、中国から伝来しました。
禅寺では山門をくぐり、玄関に到り本堂へと続き
ます。
なお、道教では「練丹術の身体にある気を巡らす
ための最初の気を通す場所」とされます。
〖不覚〗
「不覚を取る」というと「油断や不注意で思わぬ恥を
かいたり、失敗すること」を言いますが、本来は仏教
語であります。
人には「本来仏心が具わている」(本覚)のに様々
な迷いや妄念、欲が邪魔をして、本来の覚りあるこ
とに気付いていない。これを不覚といいます。
<漢字の勉強>
玄ーくろ・ふかい・しずか・ゲン
「玄」は「糸を束ねたものをねじった形」で、この状態
で白い糸の根元をく強く縛って染料に付けます。
このようにして黒く染めたもで、赤味のあるその黒が
奥深いものに感じることであります。
『周礼』という書物によると、その染汁は「三度つける
と薄赤、七度つけると黒」になるもので、その間に生
まれる赤黒い色を「幽玄」なものとし、奥深い、しずか
などの意をも持つようになりました。
白い糸束をきつく縛ったところは、染まらず白のまま
になります。そこをは白いままで「素=そ・もと」とい
います。
これから「素=しろ」ともいわれるようになります。
日本での用い方
「玄人=くろうと」⇔「素人=しろうと」。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
