ことばの物語
≪ころもー衣≫
〖衣〗
「衣」は「身体を包む着物の襟もとの象形」であり
ます。
部首の偏になると「衤」となり、意符として、衣や
それに関する動作などを表す漢字が作られます。
「衣裳」というと、「衣」が腰から上に着る服で、腰か
ら下に着る服が「裳」であります。
(内側に着る下着ではなく、スカートやズボン、袴な
どですね。)
「裳(も・ショウ)」の字の成り立ちは「尚=長いに通じ、
長いの意味」で、長い裾の服の意味。
和服の着物は男女に関係なく、襟を相手から見て
右前に着ます。
(自分か着る時には、右手側を下にして着ます。)
このマナーが決まったのは奈良時代からだそうです。
それ前までは貴人の着方は左前でありました。
その後、死に装束は左前となりますが、これは死者
は神仏に近い存在とさるところから、つまり貴人とな
るということからでありました。
古代中国では、左前は蛮族(北方の遊牧民)着方と
して忌み嫌われました。
遊牧民が左前に着るのは、狩猟で矢を放つ時に矢
が襟に掛からないようにするためでありました。
表ーおもて・あらわす・ヒョウ
字の成り立ちは「毛」に「衣」で、毛皮の衣、毛がある
方を示す。
[あらわす]
表・・・中にあるものを別の形で外に出して見えるよう
にする。→言葉に表す・喜びを表す
現・・・隠れているものをそのままの形で外に出して
外に出して見えるようにする。→正体を現す
顕・・・=現。隠の対。→顕在化する。
裏ーうら・リ
字の成り立ちは「里=すじ」に「衣」で、縫い目の筋が
見える衣服のうらを示す。(裡は俗字)
禁裏(きんり)
みだりに入ることを禁ずる所で、御所・宮中。
脳裏(のうり)
頭の中。
裳ーも・ショウ
字の成り立ちは「尚=長に通じながいの意」に「衣」で
裾の長いスカートの意味。
(ツーピスの上が「衣」で、下が「裳」ということですね。)
装ーよそう・ソウ・ショウ
字の成り立ちは「壮=倉に通じ、しまうの意」に「衣」で、
身を包む、よそうの意味。
裂ーさく・さける・レツ
字の成り立ちは「歹=別=首を切る」に「衣」で、衣服を
きりさくの意味。
裁ーたつ・さばく・サイ
字の成り立ちは「戈・才(柄の刃物)をあわせたもの」
に「衣」で、衣類を断ち切る意。
製ーたつ・セイ
字の成り立ちは「制=木を削ぎ整える」に「衣」で、衣を
裁ちつくるの意味。
褒ーほめる・ホウ
字の成り立ちは「保=抱く」に「衣」で、物を抱きしめる
ような大きな着物。また、「報」に通じ、ほめるのいみの
意味を表す。
〖衤偏〗
被ーこうむる・ヒ
字の成り立ちは「衤」に「皮=獣の皮」で、毛皮のように
覆う夜着の意味で、これから着るの意味となる。
和訓の「こうむる」は目上や強力なものの動作を
「いただく」、また、身に降りかかるという意味であり
ます。→被害をこうむる。
補ーおぎなう・ホ
字の成り立ちは「衤」に「甫=扶けるに通じ、手を貸し
たりする」で、衣のほころびに他の衣のたすけを借り
てつくろうの意味。これから、おぎなうの意味を表す。
裕ーゆたか・ユウ
字の成り立ちは「衤」に「谷=多くの物を取り入れる」
で衣服が多い、ゆたかの意味。
(昔、貧しい家では、特別な時に着る少しいい服は「一張羅」と
いいました。これはただ一枚しかもっていない衣服のことで
ありました。たしかに、ゆたかな人はいろいろな服を持っていま
すね。)
褐ーカツ
字の成り立ちは「衤」に「葛(くず)」で、葛の繊維で
織った粗末な布。(→葛衣ーかつい)
【字義】
①そまつな着物。身分の人が着る衣服。
②身分が低く貧しい人。
③色の名。→褐色・こげ褐色(ちゃいろ)。
裸ーはたか・ラ
字の成り立ちは「衤」に「臝=なめくじ」で、なめくじの
ような肌?
※別説では「果=木実」で、人のはだかを「倮」と表記
していた。衣を脱いだ実ということで、はだか。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
