ことばの物語
≪おさない・わかいー幼・稚・童・若≫
「今の若い者は・・・」、いつの時代にも言われて来た
言葉であります。
〖三歳の童子でもこれを知っているが
八十の翁もこれを行うは難し〗
それは「七仏通戒偈」であります。
諸悪莫作(しょあくまくさ)
もろもろの悪いことをしてはならない。
衆善奉行(しゅうぜんぶぎょう)
いろいろの善いことを行いなさい。
自浄其意(じじょうごい)
自らその心を清めなさい。
これ、どこの親でも子供に教えていますね。
「仏教真髄は何か」との問いに「是諸仏教」(これがす
べての仏の教えである)と答えたものであります。
これは白楽天が木の上で坐禅をしていた道林禅師
(=鳥窠禅師)に訊ねた答えが「七仏通戒偈」で、
それに白楽天が「そんなことは三歳の子供で
も知っている」と言ったの対して、とどめの言葉が表題
の言葉であります。
年を重ねるにしたがってできなくなっていくものですね。
幼ーおさない・ヨウ
字の成り立ちは「幺=いと・ちいさい」に「力」で、力の弱
い小さい子。
一般的に幼いとは、親などの保護を必要とする年齢で、
八歳くらいまでの子供をいいます。
児童福祉法の規定では、一歳児から小学校入学前。
※少年は小学校就学から18才未満まで。
児童というと、18歳未満の子供までをいいます。
和訓の「おさない」の語源は「長(おさ)無し」からとされ
ています。
稚ーいとけない・おさない・わかい・チ
篆文で「稺」。「稚」は略字とされます。
字の成り立ちは「禾=稲」に「遅=おそい」で、成長が
遅い作物から、いとけない、おさないの意味をもあら
わす。
※「晩稲(おくて)」は成長が遅い稲のこと。
成長が早いものが「早生・早稲(わせ)」。
中間のものが「中生(なかて)」といいます。
童ーわらべ・わらわ・ドウ
字の成り立ちは金文で「辛=入れ墨を入れる針」に
「目」に「重=おもい袋」で、目の上に入れ墨をされ重い
袋を背負わされた奴隷。
弱い者を意味するところから転じて、わらべの意味と
なったもの。
別説では、奴隷はまげを結うことが許されなかったの
で、同じくまげを結わない「わらべ・こども」を童という
ようになったと。
※男のしもべ、めしつかいを童、女のしもべ、めしつか
いを妾といいます。
〖大江山の酒呑童子〗
10世紀頃、京都の大江山に城を構えた鬼の頭。
大酒の呑みの童子の髪型をしているところから、こう
呼ばれていました。
源頼光率いる豪の者たちに成敗されます。
[童子切り安綱]
国宝として東京国立博物館に所蔵されている天下五
剣の一つの名刀。
「髭切り」と呼ばれていた名刀ですが、酒呑童子の首
を切り落としたところから「童子切り」と呼ばれるように
なりました。
[大童ーおおわらわ]
髪を振り乱して奮戦するさまですが、これは戦場で
武将が奮戦して兜を脱ぎ捨てたさまで、ざんばら髪
(童子のような髪型)になったところからであります。
若ーわかい・もしくは・したがう・なんじ・ジャク・ニャク
(白川静著『常用字解』)
巫女が長髪をなびかせて、両手を上げなが
ら神に祈り、御託を求める形。
のちに神への祈りの文である祝詞(のりと)を
入れる器(口)を加え、祝詞を唱えて祈ること
を示す。
ふりかざした両手の形が今では草かんむり
の形になっている。・・・・・・
伝えられた神意をそのまま伝達することが
「若(かく)のごとし」
といい、神意に従うことから「したがう」の意
味となる。
神託を求める巫女が若い巫女であったので
「わかい」の意味に用いられるようになった
のであろう。
(四冊の漢和辞典を調べた中で、これが一番納得できま
した。)
「夭(よう)」も若いといういみですが、これも「若い巫女
がしなやかに身をくねらせて神を招く舞をするさま」で
あります。
「殀」は「歹=死」に「夭」で若死の意味であります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
