ことばの物語
≪あわれー哀・憫・憐≫
家にあらば妹が手まかむ草枕
旅に臥(こ)やせるこの旅人(たびと)あわれ (聖徳
太子)
妹(いも)が手(た)まかむ=妻の腕を枕にして
草枕=草を枕にする
嫉妬で、鬼と化した橋姫もまた、別の意味で「あわ
れ」であります。
<所は平安京。ある公卿の娘が恋慕する男の女
に嫉妬し、貴船神社に七日間籠って貴船大明神
に祈願います。
「私を生きながら 鬼に変えてください。妬ましい女
を捕り殺したいのです」。貴船神は哀れに思い「本
当に鬼になりたければ、姿を変えて宇治川に21日
浸れ」と告げます。
娘は丑の刻のまいりの姿に変じ、宇治川へ浸ります。
そして、娘は鬼と化して、相手の女をとり殺し、さ
らにその女の縁者で累を及ぼします。ついに女
は人であること忘れ本当の鬼となり、一条戻橋に
出没して人々に害をなすようになってしまいます>
これを退治に向かったのが渡辺綱であります。
渡辺綱の鬼退治は、羅城門の鬼という説もあり、
こちらは酒呑童子の弟分の茨木童子となってい
ます。
哀ーあわれ・あわれむ・アイ
字の成り立ちは「口」に「衣=かぶせて隠す」で、思
いを胸中におさえ口を隠してむせぶこと。
哀歌(あいか)
かなしげに歌う。また、その歌。
哀感(あいかん)
ものがなしい感じ。
哀史(あいし)
あわれな歴史物語。あわれな物語。
ありましたね『女工哀史』。紡績工場で働く女性の過
酷な労働の記録。
哀矜懲創(あいきんちょうそう)
罰を与えるには相手を思いやる情が必要であること。
哀鴻遍野(あいこうへんや)
いたるところにかなしかなげな鳴き声を上げるガン
がいる。
いたるところに悲痛な叫び声を上げる難民があふ
れているさまを言ったもの。
憫ーあわれむ・ビン
字の成り立ちは「心」に「門=かくす」に「文=細か
いあや」で、隠された点まで思いやること。
憫凶(びんきょう)
父母に死なれた不幸。親の喪をいう。
憫笑(びんしょう)
あわれみわらう。あわれなことだとさげすみ笑う。
憐ーあわれむ・レン
字の成り立ちは「心」に「粦=隣に通じ、となり」で、
隣人どうしが抱く心、あわれの意味。
憐れむ可(べ)し
感嘆を示すことは。すべて物事に深く感動したとき
に用いる。
ああ。あわれ。
古語の「あわれ=あはれ」ですね。(しみじみと心を
動かされる。)
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
