ことばの物語
≪さすー指・射・挿・注≫ (つづき)
指ーゆび・さす・シ
指でその方向を明らかにすること。
この「さす」は迷いなくそのまま「指さす」でありますね。
字の成り立ちは「扌=手」に「旨=うまいもの」で、旨いも
のに食指が動くさまから。食指が動く?これには故事
があります。
<中国の春秋時代、鄭の霊公に面会しようとしていた
子公と子家が、宮殿に入ろうとすると、子公の人差し
指がぴくぴくとお互き始めた。
子公はそれを子家に見せて「こういう時には珍しい
物にありつける」 と言った。その時、宮廷内では楚
から献上された太ったスッポンの料理をしていた。>
これが転じて、物を欲しいと思い始めたり、何かをや
る気になったりすることを言うようになった。
指南(しなん)
教え導く。案内する。手引き。
これは、車に取り付けてある人形が常に一定方向を
向くように造られていたという指南車からであります。
<中国国家創立者と言われる伝説の黄帝(軒轅)は、
崑崙山脈の壮大な宮殿に住んでいた。敵対する
部族の長シユウは霧を起こす術を使って黄帝の
領土に攻め入ったが、黄帝はこの指南車を使っ
て目標を見失わず、シユウを撃退した。>
指宿(いぶすき)
鹿児島県にある温泉。なぜこう書くのか?
伝説の域ですが、天智天皇が湯裕宿(ゆぶすき/
お湯が豊かなところ)の地、近きにありと指さした
ところからと。
射ーいる・シャ
光や色が加わること。(日が射す・赤みが射す)→
現代表記ではかな字の成り立ちは「弓に矢をつ
がえている形」で、いるの意味。
周時代の士以上が学ぶべき六芸のなかに「射
=弓術」があります。
六芸は「礼=礼儀」「楽=音楽」「射」「御=馬術」
「書」「数」の六科目。
射幸(しゃこう)
偶然の利益を願うこと。
挿ーさす・ソウ
物の間に物を入れること。(花を挿す・挿絵など)
字の成り立ちは「手」に「臿=臼にきねをさしこん
でいるさま」で、
さしこむをあらわす。
挿花(そうか)
花をかんざしにしてさすこと。生け花。(挿頭=かん
ざし)
挿話(そうわ)
文章または談話の中にさしいれた本筋以外の
短い話。
ギリシア悲劇ではエピソードといって、悲劇の二
つの合唱の間の補助的な科白(せりふ)をいった
ものでありますと。
注ーさす・そそぐ・チュウ
物の中に液体を入れること。(目薬を注す・油を注
す)→現代表記では差すでもよい。
注連(ちゅうれん)
・水を注いで清めて連ねた縄。
・出棺後、死者の魂が家に帰ってこないように、
家の入口に張る縄。
注連縄(しめなわ)=七五三縄・標縄
神をまつる神聖な場所を他と区別する(結界)
ために張る縄。
語源は「占める」からで、注連縄とかくのは、水
で清めて連ねるという意味からで、七五三縄
と書くのは、縄にはさみ下げる藁が向かって
右から「七本五本三本」となっているところか
らで、標縄とかくのは、標野(しめの)、特別な
場所を占める意味から。
今日一日幸運でありますように
2018.2掲載再考
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
