ことばの物語
≪さすー翳・差・刺・指・射・挿・注≫
「さす」はたくさんありました。
「翳=えい」は、「さす」といっても「かざす」ということで、
「傘をさす」は本来の「高く持ち上げる」の意味から「傘
を翳(さ)す」と書くそうです。
この字は谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼賛(いんえいら
いさん)』で見かけるくらいでありますが、この時の意味
は「かげ」であります。
字の成り立ちは、「殹=矢を箱にかくすこと」に「羽」で、
身分の高い人の姿をかくすために、侍者が持ってか
ざす羽の扇のことで、かざしてかくす、おおうの意味。
現代表記では「傘を差す」。
翳然(えいぜん)
草木がおおい茂っているさま。
差ーさす・サ
他の物に入れること。(影が差す・魔が差す)
「差し出す」、この場合は強意の接頭辞であります。
字の成り立ちは、「金文の禾(いね)で、不揃いの穂
が出た稲」に「左=叉に通じ指をバラバラに開いて、
その間に物を挟むさま」で、ばらばらの意味、物事
のちかいの意味。
差益(さえき)
収入や価格の改定で生じた差額の利益⇔差損
差料(さりょう)
腰に差している自分の刀。
差配(さはい)
手分けして事務を執の行うこと。
日本では、所有者に代わって貸地、貸家などを管理
すること。
差等(さとう)
順序によって区別をすること。
愛に差等無し(孟子)
刺ーさす・ささる・シ
先のとがった刃物でさいこと。
「朿=とげ」に「刂=刀」で、とげのようにささる。
刺客(しきゃく)
暗殺を行う人。暗殺者(史記刺客伝から)
【史記に出てくる刺客】
(逸話で興味のある者)
豫譲(よじょう)
「士は己を知るものの為に死す」で知られる春
秋戦国時代の刺客。
敗死した主君の仇を討とうと試みたが、ついに
果たせなかった。
聶政(じょうせい)
暗殺に失敗すると、身元が分からないように剣
で顔を削り、目をくりぬき、腹を割いてつかみ出し
息絶えた。そして、身元を知るために布告がなさ
れる。これを耳にした姉は、「もしや」と思い韓の
都へ行く。そして聶政と同じほくろを見て「この人
は聶政といって私の弟です」というと、見物人が
「そんなことをいうと、あなたも同罪ですよ」と諫
めると「私が明かさなければ弟の名は埋もれて
しまいます。それでは弟がかわいそうすぎる。
私が名乗ったのは覚悟の上です」といい、その
場で自決したという。
荊軻(けいか)
「風蕭々として易水寒し。壮士ひとたび去って
復(ま)た還(かえ)らず」という詩句で有名ですね。
中国戦国時代末の刺客で、燕の太子の命を受
け、策略を用いて秦の政(のちの始皇帝)を暗
殺しようとするが、失敗し殺された。
(つづく)
今日一日幸運でありますように
2018.2掲載再考
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
