ことばの物語
≪つ冠 (つ部) ツ≫
「ツ」はある種の複雑な字形の一部を簡略化するとき、
符合的に用いられる。これにより、もとの部首では検
索できなくなり、新し部首「ツ」として集められた。
單(たん・ひとえ)→単
「くくく」の下に「果」→巣(す・ソウ)
營(いとなむ・エイ)→栄
嚴(きびしい・ゲン)→厳
単(單)
先端が両股になっている弾き弓の象形。
借りて、ひとつの意味に用いる。
(弾弓は、古代、矢のかわりに小石や粘土をはじ
いた弓。 今のゴム銃みたいなものですね。)
もう一つの字書は、籐の蔓を編んでこしらえたはた
きを描いたもの。
はたいてほこりを落としたり、鳥や小獣を叩き落と
したりする。
(はたいて鳥を落とす?名人技ですね。)
単句(たんく)
詩で韻を踏むのを対句というのにたいして、韻を
踏まない句。
単月(たんげつ)
奇数の月のこと⇔双月
単伝(たんでん)
あるきまった一人の師から伝授される。
禅宗で、仏法を論議、言葉によらず心から心に
伝えること。
(以心伝心)
単刀直入
一振りの刀を持って敵の中に切り込む。
仏教書の『伝灯録』からで、まわりくどい手段を取
らないで、すぐに要点にふれることのたとえ。
巣
上の「く」三つは「すの中の雛鳥」で、それに「臼
=す」に「木」。
樹木の上の鳥のすの意味。
巣窟(そうくつ)
樹上の住居と土の中の住居で、隠れ家のこと。
巣燧(そうすい)
有巣氏と燧人氏。転じて、古の時代。
二人とも古代中国の伝説上の聖人で、有巣氏
は人々に初めて家を造ることを教え、燧人氏は
人々に火の技術と食物の調理法を教えた。
ギリシア神話では、プロメティウスが天界の火
を盗んで人々に与えたと。火は神聖なものとされ、
天界の物であったんですね。
巣父(すうほ)
伝説の帝王尭の時代の隠者で、木の上に巣を
つくって住んでいたところから、こう呼ばれます。
清廉潔白の士として、書画の題材となっています。
荘子にその逸話があります。
<尭が許由に天下を譲ろうとするのを聞いて、
許由は耳の穢れと川で耳を洗った。それを見た
巣父は、そのような汚れた流れで牛に水を飲ま
せられないとして、牛を連れて帰ったという。>
許由巣父というと、栄貴を忌み嫌うことを言います。
木の上に住んではいませんでしたが、日本の栂(と
が)尾の上人(明恵)は、松林の木の枝の上で坐禅
をしていたといいます。
その姿を描いた『明恵上人樹上坐禅図』というもの
でります。
ちなみに「坐」は屋外ですわることで、「座」は屋根
付きの屋内ですわることという解説がありました。
巣林一枝(そうりんのいっし)
鳥は林の中に巣をつくっても、一本の枝に巣をつ
くったに過ぎない。
転じで、小さな家に満足して住むこと。
また、分に安んじて満足することの喩であります。
(荘子)
営(營)
字の成り立ちは「宮=多くの部屋のある家屋」に
「焱=かがりび」で、周囲にかがり火を回らせた陣
屋の意味。
厳(嚴)
字の成り立ちは「口ふたつ=きびしくつじつまを
あわせる」に音符の「厳」を付して音を明らかに
した。
(いったん嘘をついて、辻褄を合わせるのは大変
ですが、解字はとうも得心がいきません。)
もう一つの字書によると、
「いかつくどっしりとした」に「口ふたつ=やかまし
い」で、いかつい言葉を使って、口やかましく取り
締まること。
ちなみに「辻褄=きちんと合うべき道理」の語源は、
裁縫からで、
「辻」は、十字路で、「褄」は着物の裾の両端の部
分で、縫い目が十字に合う所。ここが合わないと
おかしくなってしまうんですね。
2018.2掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
