ことばの物語 ≪奥ーおく・オウ≫
「審の省略形=つまびらかにする」に「廾=両手の象形」で、
目がとどかず手でつまびらかにすることができない、おくの
意味。
手の届かないその先というところですかね。
【字義】
・部屋の西南のすみをいい、部屋で最も尊いところ。
ここに神を祭ったと。
西南は裏鬼門の位置ですね。
・おく座敷。寝室。
・内部へ深く入りくんだ所。終極のところ。
奥義(おうぎ)=学問、技術などの奥深い意味。
極意・奥旨
・奥深くかすかで知りがたいところ。
深奥
・川の水が折れ曲がって入り組んだ所(くま)
【日本での使われ方】
奥方
上流家庭の妻の敬称。上流の家の婦人は家の奥に
いて、表に出て人に会うことがなかったところから。
これが一般に広まって他人の妻の敬称となったと。
奥手=晩稲=おくて
年齢の割には色恋に疎いこと。
もとは「晩稲」で稲などの植物で成長が遅い種類の
ものを言ったもの。「奥手」の「手」は「種類」の意味。
成長の早いものが「早稲=わせ」で、中位のものを
「中手=なかて」といいます。
奥の手
とっておきの手段。もともとは「左手」のことを言ったもの。
古来日本では右より左の方が重んじられていました。
それは陰陽道の陽が「左」であるところからであります。
奥に大事にしまっている手段と言うことでありますね。
ちなみに、日本では左大臣が右大臣より上位にありま
す。
中国ではこれが逆になり、その考えを表しているのが
「左遷」であります。
「右に出る」は、右ら左に書いていく縦書きの最初の位
置をしめること、つまり最優秀の者が一番右に来るわけ
であります。
右左の優劣は日本では混乱状態ですね。
奥床しい
上品で深みがあり心がひかれる感じだ。
「ゆかしい」は「行く」の形容詞形で、「心がひかれてそ
こへ行ってみたい」で、奥が知りたくなるような様子がも
との意味。
奥津城(おくつき)
神道の墓。「奥」は「奥深い」、または「置く」で、「城」は
「四辺をとり囲んだ一郭」。
奥の細道
芭蕉の紀行文ですね。
この題は「みちのく=道の奥=陸奥」からで、陸奥(みちのく)
は都から遠い奥の意味。
月日は百代の過客にして 行きかふ年も又旅人也
・・・・・・・
古人も多く旅に死せるあり
予もいずれの年よりか片雲の風にさそわれて・・・・
「客」は旅人。向こうからやってくるので「来客」の意味を
持つ。
古人は芭蕉が憧れた「西行」のことであります。芭蕉が
江戸をたったのは西行500回忌の日でありました。
旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る (芭蕉)
願わくば花の下にて春死なん
そのきさらぎの望月のころ (西行)
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
2016.10掲載再考
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
部首ときあかし辞典(研究社)
A・ビアス『悪魔の字典』(角川文庫)
これは使える!スピーチ引用名言辞典 モーリス・マルー編 PHP文庫)
漢字の謎と暗号:青春出版
ウキィディペディア (読み物としても面白いですね
