ことばの物語
<鱗ーうろこ・リン 潜ーひそむ・セン>
「千文字」の『鱗潜羽翔』の『鱗』と『潜』です。
<鱗>
馬鹿の一つ覚えで、鱗というと逆鱗(げきりん)。
逆は普通は「ぎゃく」と読むことが多いですね。
「ギャク」は呉音、「ゲキ」は漢音。
逆鱗は兵法書『韓非子』の「説難篇(ぜいなん)」にあ
る話。
説得するのに難しい。たしかに、この話はずばり
そのもの。
竜はおとなしいので、人がその背に乗ることが出
来るのですが、喉の下に鱗が逆に生えていて、そ
れに触れると人を殺すと言います。
韓非子は言います。「君主にも逆鱗があるから、
これに意見を言う時は、その逆鱗に触れないよう
にすればよい」と。
竜は君主の象徴でしたが、今では権力者全般
を言うようになりました。
この逆鱗に触れたのが、司馬遷でありました。
この逆鱗は不条理なものであります。
鱗石、三角形の敷石のことですが、この三角形の
組み合わせの家紋を
鱗紋(うろこもん)といいます。この紋で有名なのは北
条氏であります。
初代の北条時政が、江の島弁財天に子孫繁栄を
祈願した時、美女に変身した大蛇が神託を告げ、
三つの鱗を残して消えたといいます。
豊後(大分県)の緒方氏もこの鱗紋を使ってます。
緒方氏は大神氏の流れで、大神神社の使いが蛇
である所からと。
能などの衣裳で、三角の鱗紋様は蛇の化身を
表しています。
目から鱗が落ちる。
誤りを悟り迷いから覚めることですが、これは新
約聖書「使徒行伝」にあるキリストの奇跡から。
「直ちに彼の目より鱗のごときもの落ちて見るを
得」というと、
盲目の男が目が見えるようになったと。
第一、ニの辞書
<「鱗」は、「魚」に「粦=連なって燃える燐の
火(鬼 火)」で、綺麗に並んで連なるうろこの
意味>
鱗羽
魚類と鳥類。 鱗介 魚類と貝類。
鱗甲 魚類と貝類ですが、心の中に角がある
こと。
鱗雲
巻積雲。絹積雲、鰯雲、さば雲ともいわれ、
秋によく見られる雲。これから出てきますね。
鱗鴻
手紙のこと。
鱗は、鯉魚天素のことで鯉素と略します。
これは、鯉の腹の中から白絹に書かれた手紙
が出てきた故事から。
鴻は、雁のことて雁書のこと。
蘇武が匈奴から雁の足に手紙を結んで飛ばし、
自分の生きていることを国に知らた故事から。
鱗翼
竜のうろこと、鳳凰の翼。
人の助力のことで、特に身分の高い人の助力の
こと。
鱗鱗
魚のうろこのような水の波紋。
魚のうろこのようにあざやかで美しい様。
<潜>
「潜水艦浮上せず」チャールトン・ヘストン主演映
画、ありましたね。
「みし、みし」不気味な音が艦内に、そして、
「フシュ~」と海水が・・・・。
パニックです。逃げ場のない海中。想像力は恐怖
でいっぱいになります。
「イエロー・サブマリン」ビートロズの歌。
潜水艦は英語でサブマリン。
へんてこりんに日本の演歌歌手が歌って、台無し
に。
ビートロズは九州全土を買えるお金を稼いだと言
います。
この功績で、イギリスから勲章をもらいます。
「潜」の開字は三者三様。謎解きの様を呈してます。
第一の辞書
<「潜」は「氵=みず」に「替=かくれる」で、水中
に かくれる、もぐるの意味を表す。>
単純明快。ところが第二の辞書が謎解きですよ。
第二の辞書
<「潜」は「氵=みず」に「簪=かんざし」。
兂はかんざしの象形で簪の原字。替は「兂二つ
に日」ですきまに割り込んで人を悪く言うこと。
譖(そ しる)の原字。
これから、水中に深く割りこんでもぐること。
隙間から中にもぐりこむの意。>
よくも、簪を隙間にもぐりこむこと考えたもので
すね。
第三の辞書
<「替」は「兓=呪具としての二本の簪」を「日
=祝 詞の入った器」に置いてひそかに人を呪
い、そし ることを言う。それでひそかに行為
する意味がある。>
そしるの意味を持つのはこれでしょうね。
潜竜(センリュウ)
世にでないで隠れている聖人。また、活動する
機会を得ない英雄など。
=伏竜
潜竜用いること勿れ
まだ天に上る時が来ていない潜んでいる竜は活
動してはならない。
不遇な地位にある時は、いかに優れた人でも、
無理に活動しようとしてはならない。
潜幸(センコウ)
天子のしのびの外出。
「お忍びでございます」なんていうんですね。
潜鼠(センザン)
姿をくらます。
2014.10掲載再考
今日一日 幸運でありますように!
誤字脱字ご容赦ください。
