精霊たちーハガキ大ペン画  | ザーアートマンのブログ

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ペン画の展示。絵のサイズはハガキ大です。定年後書き溜めた絵画をできれば毎日一枚展示していきます。

 

 

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絵の中の象徴

 

 

戻ってきました!ルギーのブルージュ

ローデンバックの小説『死都ブルージュ』。

なにせ想像の世界で、絵の解説に合わせて移動しますんで、

行ったり来たり。

 

ここはメムリンク美術館

「52㎝×41.5㎝の小品だが、

メムリンクの描く『聖母子とファン・ニーウェホーフェの肖像

を見てみよう。

「ファン・ニー・・・この長い名前、例によって寄進者の名前でしょう。」

「そうだね、彼はここの市長だった人らしいよ。

二連の祭壇画だね。これを 、ディプティクと言うんだ。」

「三連はトリプティクだったよね。」

「そうだ、左に聖母マリアとキリスト。右に彼の正面25度の角度

 の肖像画。この角度の肖像画をスリークオーターというんだ。」

マリア様はいつも正面を向いてるのね。

 この絵、マリア様はユリでなく リンゴを持ってるのね。」

「マリア様が正面を向いているのは、どうも決まりらしいよ。

 リンゴは例の原罪を意味し、キリストがそれをわが身に引き受ける

 ために取ろうとしているところだ。」

「マリア様、少し寂しそうに見えるわね。」

「そうだね、我が子の死を知っているんだね。

 我が子であって我が子でなく神の子。

 母親としてみれば、何とも言えない複雑な気持ちがあるんだろうが、

 この時代の人は、そんなこと考えていないと思うよ。

 なにせ、疑いは禁物の中世だよ。」

「そうよね、神様が特に選んだ人だもの、平静よね。」

「聖母の衣装の色にも決まりがあって、赤い色は愛を表し 青は真実

 表しているんだ。

 これも色々解釈する人がいて、意味があいまいになっている。」

「本当は、初め言い出した人しか解らないよね。」

「そうだね、ここに絵のいいところがあるんじゃないかな。

 悲しみの表情に見えても、違うかもしれないし。ただ、画家の感性は

 悲しみを密かに表現したと思うよ。」

「この二つの絵、同じ部屋の中よね。」

「そう、同じ部屋だ。特別に自分は招待された選ばれた人間で

 ありたいんだね。」

「絵の中にステンドグラスかいくつか描かれているけど、

 これにも意味があるのよね。」

「まず、マリア様の右上のステンドグラスには、彼の家の紋章。

 その下に『全てには理由がある』と書かれている。」

 そして右の彼の後ろには、 

 聖ゲオルギウス聖クリスフォトロスの像がある。」

「聖ゲオルギウスは竜退治の聖ジョージね?」

「そうた そこで聖クリストフォロスを調べてみると

 『キリストを背負うもの』という意味をもつとのこと。

 キリストを肩車して、河を渉っている絵があるんだ。

 3世紀のローマ時代の殉教者ということで、旅人の守護聖人に

 なっている。

 さらに調べてみると あの芥川龍之介の小説

 『きりしとほろ上人伝』は 彼を主人公としている。

 明治の文化人の知識の広さを感じるね。

 32歳で自殺した彼の部屋には、聖書があったそうだ。」

「やはり最後には、神様という超自然の力に頼るんだよね。

 でも、魂は救われなかったんだね。」

「それはともかくとして、メムリンクの絵はどの作品を見ても

 ほれぼれとする美しさがあるね。」

                      

 

今日一日 幸運でありますように

 

                         誤字脱字ご容赦ください。

2015.2掲載再考