株式会社朋成では現在、全国のお客様から遺影写真作成や古い写真の修復をご依頼いただいております。
しかし、実は弊社が遺影写真作成に力を入れるようになったきっかけは、一人のお客様との出会いでした。
今から20年以上前のことです。
当時の弊社は、カタログやパンフレット、ポスターなどの色修正や製版を行う「美術写真製版会社」でした。
まだホームページもなく、もちろん遺影写真作成を専門にしていたわけでもありません。
そんなある日、一人のご婦人がご来店されました。
ご婦人は大切そうに一枚の遺影写真を抱えておられました。
「主人の遺影がぼやけているので、何とかならないでしょうか。」
お話を伺うと、ご主人がお亡くなりになられた際に作られた遺影写真でした。
しかし、当時の弊社は遺影写真作成を行っていませんでした。
そのため、
「申し訳ありません。当社は遺影写真はやっていないのです。」
とお伝えしました。
するとご婦人は、
「印刷に詳しい友人から、こちらの技術が高いと聞いて来ました。」
とおっしゃいました。
その時の悲しそうなお顔を今でも覚えています。
その姿を見て、当時の社長がこう言いました。
「一度チャレンジしてみます。」
額の中には、遺影写真の元になったお写真が残っていました。
そこで当時使用していた高精細ドラムスキャナーで原稿を取り込み、製版技術を駆使しながら修正作業を行いました。
今のようなAI技術はまだありません。
経験と技術だけを頼りに、どうすれば少しでも良い状態にできるのかを考えながら作業しました。
そして完成した写真をお渡しした時のことです。
ご婦人は写真を見るなり涙を流され、
「ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
と何度も何度もおっしゃってくださいました。
その姿を見た時、スタッフ全員が胸を打たれました。
私たちはそれまで、印刷物を美しく仕上げることが仕事だと思っていました。
しかし、その時初めて気付きました。
写真には、その人の人生や思い出、ご家族の歴史が詰まっているということを。
そして、私たちの技術は人のお役に立てるのだということを。
それが現在の遺影写真作成や写真修復へと繋がる原点となりました。
その後、デジタル化の時代が訪れ、私たちは試行錯誤を重ねながら技術を磨いてきました。
小さな写真からの遺影作成。
集合写真からの遺影作成。
古い写真の修復や復元。
白黒写真のカラー化。
他店で難しいと言われたお写真の修復。
一枚でも多くのお写真でお客様に喜んでいただけるよう、技術を高め続けてきました。
あの日、ご主人の遺影写真を抱えて来られたご婦人がいなければ、現在の株式会社朋成はなかったかもしれません。
私たちは今でも、その時いただいた
「ありがとうございます」
という言葉を忘れておりません。
これからも一枚一枚のお写真と真剣に向き合い、お客様の大切な思い出を残すお手伝いをさせていただきたいと思っております。
株式会社 朋成



