こんにちは、絶學無憂です。
私が常々セラピー業界・スピ業界に関して危機感を覚えているようなことがよく出ている事例があったので、取り上げてみます。
数年前の記事ですが、こういうものがありました。ご面倒ですが、リンク先の記事をまずはお読みください。そうして頂かないとちょっと話ができないので。
輪廻転生が実在することが量子論で判明! 専門医「死後、あなたの意識は次の人の脳に張り付く」
センセーショナルなタイトルの記事ですが、お読みになられてどう思われたでしょうか?
やっと量子論で輪廻転生が判明される時代が来たか!
と思われた方、いらっしゃいますか?
輪廻転生が実在することが量子論で判明
これは、明らかに誤りです。
輪廻転生の実在を示したのは、タッカー氏の前世の記憶を持つ子どもたちへの調査研究であって、量子論がそれを判明したわけではありません。
前世の記憶を持つ子どもたちの存在については疑いようがない(と思われる)事例があるが、一体どうやってそれを理解すればよいかという解釈の部分で、タッカー氏は量子論そのもの、というより量子論から出てきたロバート・ランザ博士の「生命中心主義(biocentrism)」の考え方・理論を採用しており、「意識は肉体の死後も生き残り、次の宿主の意識として活動する」のだろうと考えているというのが記事の内容です。
よろしいでしょうか、この考え・理論の部分については、別に何も判明していないのです。これは「私は神を信じている」というのと同じような話で、「考え」に過ぎません。量子力学の実験が、「意識は肉体の死後も生き残り、次の宿主の意識として活動する」と示したわけではありません。
ちなみにこの「生命中心主義」を唱えた当のロバート・ランザ博士も、傑出した幹細胞の研究者だそうですが、量子力学の研究をしているわけではありません。したがって、彼の「生命中心主義」も、「こうなってるんじゃないかなと僕は思うよ」という「考え」・「理論」であって、量子力学の科学的な実験で検証されたものではない、と見るべきです。正しいかもしれないし、間違っているかもしれない、ということです。
危機感を覚えたというのは、これがFacebookで投稿されたら90人もの人が「いいね!」を押していたという事実です。この人たちがもしも「量子論で輪廻転生が判明された」というように理解して「いいね!」を押していたのだとしたら、ちょっと問題だと思い、記事を書きました。
このケースは、オリジナルの英語の記事が見つけられるようになっているのでまだ良心的なほうですが、「死後、あなたの意識は次の人の脳に張り付く」などと書いてあったら、まず疑いから入るのが態度としては「正しい」でしょうし、「輪廻転生が実在することが量子論で判明」というのも、まず見た瞬間に「ホンマかいな?」と思って頂くべきです。
おそらく記事のアクセス数を増やそうという「盛る」意識が(当ブログでもこの盛る意識がたびたびトラブルを起こしていますが)このようなタイトルを付けさせたのだと思いますが、他はともかく、科学を語る場合は、「盛る」という行為について極力注意するべきです。事実を曲げてしまっては科学的調査の意味が失われます。
バージニア大学のジム・タッカー氏の仕事については邦訳の書籍も出ていますので、興味のある方は御覧ください。私も読みたいと思いつつまだ読んでいません。
彼の師匠に当たるイアン・スティーブンソンの本も紹介しておきます。
日本国内では、このテーマでは産婦人科医の池川明先生が盛んに発言・出版されています。産婦人科のお医者さんが空き時間に調べたことなので、タッカーや、スティーブンソンの学問的な仕事に比べると厳密性には欠けますが、愛に溢れたメッセージに癒やされる人も多いでしょう。
ところで、私が個人的にどう考えているかも申し添えますと、ま、大部分がバシャールの語ることに由来しているんで、たいしてオリジナルな考えではないですが、
- 意識は脳の産物ではない
- 唯一の意識が『クラウド』上にあって、端末である脳を使ってその意識の一部と交信している
- そもそも物質界、あるいは宇宙全体が、もともとは『クラウド』上の唯一の意識から作られた、ある種の仮想現実である
- 量子論の示す奇妙な世界観は、おそらく物質界が意識から生じているということに由来する