こんにちは、絶學無憂です。

 

新シリーズ始めよう宣言をしたものの、忙しいのと、もうひとつ気持ちが乗ってこないので、一度脱線して、誰もあまり興味なさそうな話をします。

 

と言って気楽に書くつもりが、私の物理音痴もあって、随分勉強する羽目になってしまい、これを書き始めたのをちょっと後悔しています。

 

音叉セラピーの音叉は、ノイズキャンセリング・ヘッドホンと同じような仕組みで感情ノイズの解放をしているのどうか?っていうお話です。

 

 

音叉セラピーで一番普及しているのは木火土金水(肝経・心経・脾経・肺経・腎経)の五行音叉ですが、実は他にも色んな種類の音叉があるようです。14経絡調整用だったり、チャクラ調整用だったり、その他にも。一体誰がどうやってそれぞれの音叉の周波数を決めたのか、という話が当然気になりますが、そういう話はまだ聞いたことがありません。もしどなたかご存知でしたら教えて下さい。

 

BU五行オンサセラピー通信講座キットの商品ページより

 

五行音叉の場合は、なにか感情ストレスがある場合に、二本の音叉を選んでチンチン鳴らすのを聞いていると、あら不思議、とその感情が消えていく、というのが体験されます。強力な感情開放ツールとしてキネシオロジーの世界ではすっかりお馴染みになっています。同じ方法でゴール設定にも用いられて、挑戦的なゴールに対してもエネルギーや体がぶれないように調整することが出来ます。

 

動画などで聴いていても違いが分かることがありますが、興味深いのは、強い感情ストレスを持っている人の、特にバランスの乱れているような箇所へ音叉を近づけると、音が曇って響きが鈍くなりますが、しばれくしてエネルギーが調整されてくると、響きが澄んできます。

 

おそらく誰も調べていないと思いますが、人間が知覚できるような変化なので、例えば、できるだけ話し声などが入らないようにして、その様子を記録した動画の音声トラックの音叉の音を、周波数解析でスペクトログラム(音の成分の力の強弱を、時間と周波数とに対して表した図)を描いたりすれば、おそらく数値的に実際に何らかの音の変化が確認できるのではないかと思います。曇ったり澄んだりというのが、音の性質のどのような部分に出るかというのは、あまり詳しくないので予想ができませんが、たとえば倍音の成分が違っていたりするのかも知れません。

 

女性が「みなと」と発声したときのスペクトログラム (横軸が時間、縦軸が周波数で、白黒が強さを表す)

 

これは、もしうまく示すことが出来たらならば、感情ストレスという心の領域のものが、音という物理現象に影響を受けるのみならず、音という物理現象のほうが感情ストレスという心の領域のものにもどうやら影響を受けるらしい、ということを客観的に測定できるということになり、とても画期的な解析結果となるかもしれません。

 

 

さて、この特定の周波数の音が心へ作用する仕組みについては、ノイズキャンセリング・ヘッドホンと同じような原理であって、感情ストレス自体の持っている波と同じ周波数で逆位相の波を音叉がぶつけるとことでお互いに打ち消しあって、ストレスが消えていくのだ、という説明がしばしばなされます。

 

これは物理学でいうところの波の干渉という現象のひとつの形(減殺的干渉)です。干渉し合うような波同士のことを互いにコヒーレントである、と言います。周波数が同じで、常に山と谷がぶつかり合うような波があれば互いに打ち消し合ってしまいます(逆に、山と山、谷と谷がぶつかり合うような波があればお互いに波を強めます)。

 

 

ただし、この山と谷の説明で直感的におわかりいただけると思いますが、本当に打ち消そうと思えば、消したい波とちょうど同じ大きさ(振幅)で逆相の波をぶつける必要があります。考えればすぐ分かりますが、波を消すためにぶつける方の波が大きすぎれば、そちらが勝ってしまって別の種類(逆相の)の波が結果的に残ることになってしまいます。

 

 

さて、この記事で私の言いたいことは、真面目に考えると、音叉が心の波を消してくれる作用というのは、ノイズキャンセリングの原理ではありえないだろう、ということです。

 

ある人のある悩みが特定の波(波動)を持っていたと仮定して、その波を音叉が消すとします。(もちろん通常の物理では悩みに物理学で言うような波があるとは考えませんが、ここでは波があるという立場の上で波についての物理的な性質をもとに考えます)

 

もしノイズキャンセリングの原理でこれを行うとすると、この人の悩みの出している特定の波(というものがあると仮定します)に対して、逆相になるような波が音叉から発信されていなければなりません。しかし、音叉はそのような可変性のあるものではありません。工場で作られてチューニングされたら同じ音程の音がずっと鳴るものです。いちいち相手(の心理状態)によって音程や音色が変わるような仕組みありません。ですので、相手の悩みの持つ波に合わせて逆相の波を準備する、という部分がまずあり得ません。

 

さらに、実際の音叉セラピーの場面を思い浮かべてもらえば明らかですが、盛大にチンチン鳴らしていて、その音量については大きくても小さくてもあまり気にしていません。ところが、ノイズキャンセリングの原理がもし働いているとすると、心のノイズを消すためには、正確に同じ音量(振幅)の逆相の音をぶつけなければいけません。そんな音量調節能力は音叉にはないだろうと考えます。

 

以上の理由から、ノイズキャンセリング・ヘッドホンと同じ原理で五行音叉が働いているとは考えられません。

 

 

もしノイズキャンセリングの原理があり得ないならば、一体どうやって音が心に作用するのか?というのが当然疑問になりますが、物理学の考え方の中では、引き込み(entrainment)、それからよく似た概念で共振・共鳴(resonance)当たりが該当すると思われます。

 

引き込みというのはAとBの別々に振動しているもの(振動子)があったときに、両者間の相互作用によって、AとBの振動が同期するような現象のことを指し、たとえば揺れる台の上に置いたメトロノーム同士の同期というのは好例です。

 

 

引き込みにおいては、もともと両者が互いにそれぞれのリズムを刻んで振動している、というのが前提になっています。

 

 

これに対して、共鳴・共振はそうではありません。ふたつのうちの片方はリズムを持って振動していなくても構いません。

 

ブランコ(A)を人(B)が押すという例を考えますと、もともとブランコは揺れていません。人(B)がリズミックに力を与えるために、ブランコ(A)にはリズムが生まれて動き始めますが、人が押すのをやめてしまうとやはりいずれ止まってしまいます。

 

他の例としては、ワイングラスを音で割る実験がありますが、あれはワイングラスのもつ共鳴周波数と同じ周波数の音波を当てることで共鳴が激しく起こって割れてしまうんです。

 

 

こちらはもっと分かりやすい共鳴の例。同じ音の音叉が鳴り出すという共鳴です。

 

 

 

音叉セラピーの話に戻しましょう。

 

音叉が何らかの形で経絡に作用して、それによって感情解放が起こっていると考えられます。音叉が経絡に働きかけるのは、引き込みでしょうか、共鳴でしょうか、それ以外でしょうか?これがどうも今のところは難しい。

 

数日かけていろいろ考えては見たのですが、はっきりこうだ、と言えるような話にならないので、宙ぶらりんで申し訳ないですが、「分かりません」というのが結論です。

 

 

ではこれから音叉の作動原理をどうやって説明したらよいんですか?うーん、ごもっともな質問。バシャールに聞きに行くのが一番かな!