リバティ・バランスを射った男 (The Man Who Shot Liberty Valance)
★★★★
1962年4月22日米国公開/モノクロビスタ/123分/パラマウント/
製作 ジョン・フォード、ウィリス・ゴールドベック
原作 ドロシー・M・ジョンソン 脚本 ジェームズ・ワーナー・ベラ、ウィリス・ゴールドベック 監督 ジョン・フォード 撮影 ウィリアム・H・クローシア
音楽 シリル・J・モックリッジ、アルフレッド・ニューマン
出演-ジョン・ウェイン、ジェームズ・ステュアート、ヴェラ・マイルズ、リー・マーヴィン、エドモンド・オブライエン、ウディ・ストロード
前作「馬上の二人」から10ヶ月後に公開された、フォード68歳の監督作品。
主演のジョン・ウェインは55歳になっている。
上院議員となったジェームス・スチュワートとヴェラ・マイルズ夫妻が西部の町に降り立つ。昔の知り合い、ジョン・ウェインの葬儀に出席するためだ。
そこから長い回想に入っていく。
荒くれ者の「リバティ・バランス」であるリー・マーヴィンに身ぐるみ剥がされた新米弁護士のスチュワート。法律を立てにマーヴィンを逮捕すると息巻くが、この西部では法律より拳銃が物を言うのだとウェイン。
ヴェラ・マイルズとの三角関係も同時に描きながら、やがてマーヴィンとの一騎打ちとなる。
腕を撃たれながらもスチュワートは「リバティ・バランス」を射って倒す。
そして州の議員に選出されるが、スチュアートは「人殺し」の負い目を感じ辞退する。そこにウェインがやってくる。「リバティ・バランス」を倒したのはお前じゃない、同時に発泡した俺だと、真実を話す・・・。
ウェインの捨て台詞がカッコよい。「西部では伝説は事実になるんだ・・・」
そして回想が終わって現実に。
町には鉄道が通り、法律遵守の世界となり、荒くれ者は駆逐された。
帰りの列車でスチュアートは、便宜を図った車掌に言われる。
「何てったってあなたは、リバティ・バランスを射った男ですからね」
この映画のジョン・ウェインの孤独な姿は、どこか「捜索者」のイーサンに似ている。根底に流れている、名も残さずに死んでいった多くの「英雄」たちへの、鎮魂歌の調べが聞こえてくるようだ。
ただ、スチュアートが無法者を取り締まるには「法」ではなくやはり「拳銃」だと、変節した過程が省略されすぎている気がする。
それとラストの、準州から州への昇格を話し合う集会のシーンが長すぎた。牧場主の保守派の長台詞とかまったくの不要で、ただの無駄な時間だった。
ここのシーンが半分だったら、傑作となったのに残念だ。
以下Wikiより転載
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『リバティ・バランスを射った男』(原題: The Man Who Shot Liberty Valance)は、1962年製作のアメリカ映画。ジョン・フォード監督作品。白黒、ワイド画面。
概要
モンタナ州立大学教授ドロシー・M・ジョンソンが1949年に書いた同名小説をジェームズ・ワーナー・ベラとウィリス・ゴールドベックが共同脚色した異色西部劇映画。クライマックスの決闘シーンを物語が75%ほど経過した時点に配し、終盤のラスト3分前で決闘シーンの謎解きの種明かしを行うというやや変わった倒叙展開を持つ作品である。また、ジョン・ウェインとジョン・フォードがコンビで製作した最後の西部劇映画でもある。
この作品でリバティ・バランスを演じたリー・マーヴィンは、元来悪役専門のイメージが強かったが本作で主演のジョン・ウェインと渡り合う演技を見せつけ悪役のイメージを払拭する事に成功し、一躍注目されスターダムにのし上がった。
なお、バート・バカラック作曲、ハル・デヴィッド作詞で、ジーン・ピットニーが歌ってヒットさせた『リバティ・バランスを射った男』は、この映画のために作られた楽曲であるが、作中では使われていない。
アカデミー賞 ノミネート
アカデミー衣裳デザイン賞 (白黒部門):イーディス・ヘッド
余談
後にマカロニ・ウェスタンブームを巻き起こした映画監督のセルジオ・レオーネは、ジョン・フォードが監督した映画の中で一番好きな作品に本作を挙げている。