「パパと呼ばないで」
1972年10月4日から1973年9月19日まで、
日本テレビ系列で放送された全40話のホームドラマである。
石立鉄男&ユニオン映画シリーズ、
「おひかえあそばせ」「気になる嫁さん」に続く三作目に当たる。
放送期間:1972年10月4日 - 1973年9月19日
放送時間:毎週水曜日 20:00 - 20:55
放送回数:全40回
放送形態:16ミリフイルム・カラー作品(撮影は35ミリフィルム、放送時16ミリフィルム)本放送時のみ16ミリシネテープ音声つき(再放送時からは光学音声)
レギュラー出演
石立鉄男
杉田かおる
大坂志郎
三崎千恵子
松尾嘉代
有吉ひとみ
小林文彦
花沢徳衛
冨士眞奈美
企画-小坂敬/プロデュサー-吉川斌・上野徹
エピソード
劇中で千春は猫(ニャロメ)を飼うが千春を演じた杉田かおる(当時8歳)は猫が苦手だったため、第21話で猫が逃げるエピソードが製作された。
日本酒メーカーの月桂冠がスポンサーだったため、劇中ではバーでもビールやウイスキーではなく日本酒が出された。
第9話で右京と内田が、第10話で清太郎たちが会食した“どぜう伊せ喜”は、江東区高橋に実在する1887年(明治20年)創業の老舗である。
第10話の劇中で廃止された都電として登場する都電高橋線(23系統)は、実際に1972年(昭和47年)11月12日付で廃止された。
第18話で昇が訪れる佃煮屋“天安”は、中央区佃に実在する1837年(天保8年)創業の老舗である。
第22話で右京が歌った「オバQえかきうた」は『新オバケのQ太郎』(1971年)のエンディング・テーマである。
第15話にゲスト出演した太田淑子は同作で正太の声を演じている。
第24話の脚本の矢田陽子は「やだよう!」をもじった向田邦子のペンネームである。
第29話で園子が千春を連れて訪れる“飯野病院”は、東京・調布市に実在する病院でロケ撮影を行った。1997年に全面的に建て替えられたため当時の面影はない。
第31話の若松で流れる音楽は、当時のヒット曲「赤とんぼの唄」(あのねのね)である。
本放送時の平均視聴率は11パーセント前後であったが、再放送が繰り返されたことにより人気を獲得した。
アニメ『パパのいうことを聞きなさい』第1話のサブタイトルは『パパと呼ばないで』である。この作品は独身男性主人公(大学生)が、(航空機事故で)亡くなった親代わりの姉の娘3人を引き取り、共同生活を始めるストーリーであり
『パパと呼ばないで』とも共通する点がある。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | ゲスト | 星取表 |
1 | きっと立派に育てて見せる | 松木ひろし | 千野皓司 | 野村昭子 江守徹 |
★★ ★★ |
寸評 | 姉が急死して子供を預かる事になる顛末がテンポよく描かれる。今となっては古き昭和の人情に厚い佃島界隈と、大坂と三崎の夫婦が懐かしい。 | ||||
2 | あたしとどっちが好き? | 松木ひろし | 千野皓司 | 田島令子 塩沢とき 望月真理子 |
★★ ★★ |
寸評 | 花沢と富士が登場。出戻りの富士が面白い。杉田が石立の同僚の田島とのデートに嫉妬するのがいじらしい。 | ||||
3 | やっぱり他人? | 向田邦子 | 平山晃生 | 江守徹 | ★★ ★★ |
寸評 | 脚本は向田邦子。杉田が熱を出し大慌ての回。杉田を手放した方が良いと言う三崎と大坂の言い争いが面白い。他人の石立と杉田の絆が、ラストにはより強固なモノとなる。 | ||||
4 | 子連れデイト | 向田邦子 | 平山晃生 | 田島令子 江守徹 |
★★ ★★ |
寸評 | 石立と田島のデイトに同伴する杉田。机の下で手を握り合うのを見て突然不機嫌となる。大坂に子育てを諭される石立。その大坂は三崎と意見が食い違い喧嘩となる。二転三転する描写が面白く、流石の向田邦子の脚本。 | ||||
5 | 突然の誕生日 | 窪田篤人 | 千野皓司 | 田島令子 | ★★ ★ |
寸評 | 石立が田島の積極性を拒む理由がわからない。杉田が誕生日を偽る動機が突然過ぎる。 | ||||
6 | 母親がやって来た! | 窪田篤人 | 千野皓司 | 田島令子 江守徹 |
★★ ★★ |
寸評 | 田島が家に乗り込んできての一騒動。各人が杉田を守ろうとするのが面白い。終盤の石立が田島を叱るシーンには溜飲下がる。 | ||||
7 | 性教育騒動! | 向田邦子 | 平山晃生 | 望月真理子 | ★★ ★★ |
寸評 | 向田邦子脚本。杉田の子供はどこから生まれるの?の疑問での大騒動。「ワレメちゃん」の表現が可笑しい。美容室に居た妊婦の産気付きから石立は病院へ。競艇狂いの夫を諭し、亡きママの洋服が杉田に届いて、しんみりのラストとなる。 | ||||
8 | カモメがとりもつ縁かいな? | 向田邦子 | 平山晃生 | 望月真理子 江守徹 |
★★ ★★ |
寸評 | 向田邦子脚本。石立が望月にゾッコンとなり、大坂が一肌脱いでコンサートチケットを渡すが、フィアンセと行く事が判明、石立は失恋となり泥酔して荒れるが、杉田の笑顔に救われる。 | ||||
9 | ただ今2対2 | 山本邦彦 葉村彰子 |
千野皓司 | 江守徹 | ★★ ★★ |
寸評 | 石立は会社からの独立を画策、毎晩午前様が続く。大坂がそんな石立に切れて家族会議で家を出ていくことが決定。大坂は江守や花沢の説得を聞き、出立は中止となる。べらんめえ口調で、ずっと居ていいと強がる大坂志郎の演技が光る。 | ||||
10 | ママがほしい! | 葉村彰子 | 千野皓司 | 福岡正剛 望月真理子 |
★★ ★★ |
寸評 | 杉田が母親参観日を言い出せず、家出して大騒ぎ。最後には松尾が手作りちゃんちゃんこを、有吉が自分の七五三の和服を贈って慰める。大坂は娘二人の石立への好意を感じ取る。 | ||||
11 | ネコふんじゃった | 向田邦子 | 平山晃生 | 福田豊土 小沢弘子 |
★★ ★★ |
寸評 | 裕福な夫婦から杉田を養女に欲しいと懇願される。悩む石立だが試しに一晩泊まってみる。が、杉田は石立が気になって戻ってきてしまい、絆の深さを再確認する。裕福夫婦はペットの犬を飼い出して丸く収まって終わる。 | ||||
12 | チーちゃんの秘密 | 山本邦彦 葉村彰子 |
平山晃生 | 野村昭子 | ★★ ★ |
寸評 | 銚子の叔母・野村昭子が杉田を引き取りに来るという、前回と似たようなお話。ただ杉田は最後まで旅行にいくつもりなので、ラストのホーム発車ベルのシーンも感慨はほとんどない。 | ||||
13 | 忘れていた婚約 | 窪田篤人 | 平山晃生 | 多々良純 | ★★ ★ |
寸評 | 大坂の戦時中の上官、多々良が訪ねて来て、それぞれの長女と長男を結婚させる約束を実現させようとする。が、石立を松尾の婚約者に仕立てて何とか切り抜ける。 | ||||
14 | パパ出世してね | 山本邦彦 葉村彰子 |
平山晃生 | 大泉滉 江守徹 |
★★ ★★ |
寸評 | 石立のクェート転勤が決まり杉田は自分の存在がお荷物になると家出してしまう。結局転勤は江守に譲る事になって絆が深まるのだった。劇中の冨士眞奈美と松尾嘉代の喧嘩のシーンが面白い。富士が杉田に「チーちゃん、行かず後家って知ってる?」「知らない」「出戻りは?」「知ってる」富士ギャフン、のやり取りがサイコーに笑えた。 | ||||
15 | とんだ人助け | 向田邦子 | 千野皓司 | 真屋順子 楠トシエ |
★★ ★★ |
寸評 | 杉田の男友達の母親に石立が恋をしてしまう。が、真屋順子演ずる母親は石立の将来を思い、自ら身を引き、別れを告げる。 | ||||
16 | 生みの親育ての親 | 山本邦彦 葉村彰子 |
平山晃生 | 松山英太郎 | ★★ ★★ ★ |
寸評 | 女に走って、石立の姉と杉田を捨てた役を演ずる、杉田の父親・松山英太郎が素晴らしい。冨士眞奈美の勘違いから、杉田と松山が他人同士で砂遊びする筋運びも良い。ラストの杉田の「おじさん、さようならー」が心に響く。 | ||||
17 | 発車オーライ! | 窪田篤人 | 千野皓司 | 近藤洋介 江守徹 |
★★ ★★ |
寸評 | 石立を巡っての松尾と富士の鞘当合戦。花沢は富士を石立の嫁にしたく、大坂に頼むのだが、杉田の「これからもみーんな一緒」の健気な言葉を聞いて、花沢に伝え諦めさせる。 | ||||
18 | 聞いてくれるなおっかさん | 山本邦彦 葉村彰子 |
平山晃生 | 津山登志子 三遊亭笑遊 |
★★ ★★ |
寸評 | 船上生活者と仲良くなる杉田。友達を助けるために余った調整米を上げるが。それが長男・小林文彦の仕業だと勘違い、大坂は叱責、三崎は涙する。しかし小林は最後まで杉田を庇い通す。小林キャラを立てたよく出来た脚本だった。 | ||||
19 | 嫁にはやれません! | 窪田篤人 | 千野皓司 | 近藤洋介 早瀨久美 |
★★ ★ |
寸評 | 大坂の恩人を住まわせたいのを聞いた石立が部屋を出ていくのが唐突すぎる。しかし引っ越ししてからの松尾と富士の争い、そこに登場する早瀨久美に今後の期待が持てる。 | ||||
20 | 粉雪の舞うひな祭り | 窪田篤人 | 千野皓司 | 近藤洋介 早瀨久美 |
★★ ★★ |
寸評 | 杉田・石立の不在を寂しがる大坂一家。会えばすぐに喧嘩する松尾だが、花沢に諭され石立は頭を下げて再び戻って来る事となる。もう少し別居状態を描いてほしかった。早瀬久美のキャラがもったいない。 | ||||
21 | おばあちゃんはネコ嫌い | 山本邦彦 葉村彰子 |
平山晃生 | 浦辺粂子 | ★★ ★ |
寸評 | 猫嫌いで潔癖症な祖母・浦辺が上京しての一騒動。ラストは杉田の健気さにほだされて、お墓の代金を工面してくれて、上野駅でのホーム走りのお別れシーンで終りとなる。 | ||||
22 | ハッピー・バースデー | 向田邦子 | 平山晃生 | 柴田侊彦 野口ふみえ |
★★★ ★★ |
寸評 | 向田邦子脚本。杉田の誕生会と、男友達の母親の葬式が同一日になるという絶妙な構成。杉田の、ママを亡くすとパパは失踪して、叔父さんと米屋に住む事になるのよと、子供心にも慰める姿が笑えてかつ悲しい。パパ役の柴田侊彦が好演。 |