「秋立ちぬ」

★★★

1960年10月1日公開/モノクロシネスコ/80分/東宝/

製作    成瀬巳喜男 脚本    笠原良三 監督    成瀬巳喜男
撮影    安本淳 音楽    斎藤一郎 美術 北辰雄

出演-大沢健三郎・一木双葉・乙羽信子・藤間紫・藤原釜足・賀原夏子・夏木陽介・加東大介・菅井きん・河津清三郎

 

前作「夜の流れ」から3ヶ月後に公開された成瀬監督作。同時上映は黒澤明の「悪い奴ほどよく眠る」。

 

脚本は同時期に「社長」シリーズを書いている笠原良三のオリジナル。成瀬自身のプロデュースで、成瀬の自伝的要素が多いとされている。主役の子供たち二人がとても演技がうまい。子供が主役の映画は1947年の久我美子主演「春のめざめ」以来。

 

低予算らしく音声は全てアフレコとなっている。ただその分セリフが聞きづらい場所がなかった。乙羽信子と加東大介がデキてしまうのが早すぎだと思うが、突然の少女との別れが切なかった。

 

決して、少年が引っ越していくトラックを追いかけて、少女が顔を出して「サヨナラ」なんてお涙頂戴シーンにならないのが良い。

 

ここ数年来、女性映画ばかり撮ってきた成瀬にとって、この映画は息抜きというか、これからの心機一転となったのではないだろうか。

 

以下Wikiより転載

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『秋立ちぬ』は、1960年に公開された成瀬巳喜男監督による日本映画。成瀬自身によるプロデュース作品で、原案は笠原良三のオリジナルシナリオ。併映は黒澤明監督作品『悪い奴ほどよく眠る』。

概要
笠原良三が執筆したオリジナルの脚本『都会の子』をモチーフに、成瀬自身が翻案を行った作品。クレジットは「脚本:笠原良三」となっている。下町を舞台に大人たちの複雑な人間関係が絡む成瀬の真骨頂とも言えるプロットだが、翻案にあたり主人公の少年に成瀬本人の幼少時代が反映されており、自身や自作について寡黙だった成瀬の半生が窺える貴重な作品である。また「主人公が少年」という設定も、成瀬作品としては極めて珍しいものである。特に、この作品の前後には『女が階段を上る時』や『娘・妻・母』、『妻として女として』、『女の座』など一般に「成瀬らしい」とされる大人の女性たちを描いた作品が多いため、その特色がより際立っている。なお主人公の少年は成瀬映画の常連子役、大沢健三郎が演じている。

大人たちの勝手な事情に振り回される少年少女の健気な姿を描いたストーリーや、2人のささやかな繋がりを描いた演出など、作品としての完成度も高く、成瀬ファンからも総じて人気のある晩年の快作である。本作はこれまでキネマ倶楽部を始め一般に市販されるソフト化は行われたことがなかったが、2022年10月、「東宝DVD名作セレクション」としてDVD化された。アマゾンプライムでも視聴可能。