「娘・妻・母」

★★★

 
 

1960年5月21日公開/カラーシネスコ/122分/東宝/

製作    藤本真澄 脚本 井手俊郎・松山善三 監督 成瀬巳喜男
撮影  安本淳 美術  中古智 音楽  斎藤一郎

出演-原節子・高峰秀子・森雅之・宝田明・淡路恵子・団令子・三益愛子・仲代達矢・草笛光子・小泉博・杉村春子・中北千枝子・加東大介・上原謙・太刀川寛

 

前作「女が階段を上る時」から4ヶ月後に公開された成瀬監督作。

4年ぶりの原節子が主演だが、原はほうれい線が目立ち、すっかり歳を取った印象を受けた。映画内では34歳の設定だが、実年齢は40歳となっている。

 

即物的な題名だが、女性のそれぞれの世代を比較して描く内容。高峰秀子と4年前に結婚した松山善三が脚本に加わっているので、「娘」世代の団令子がとても生き生きと描かれている。また同時に年上の妻・淡路恵子を持つ宝田明や、杉村春子へのマザコン息子を演ずる小泉博など、それまでの成瀬作品にはない要素が描かれ新味がある。

 

しかしこの作品もやはりラストがイマイチだった。

老人ホームに入居するつもりの三益愛子と、一緒に暮らしていきたい高峰秀子、嫁ぎ先に連れていきたい原節子の、それぞれの思いが中途半端な印象で映画は終わってしまう。やはり三益が最後はどうなるのか、暗示でも良いから提示してほしかった。