「女が階段を上る時」

★★★

1960年1月15日公開/モノクロシネスコ/111分/東宝/

製作    菊島隆三 脚本    菊島隆三 監督    成瀬巳喜男

撮影    玉井正夫 音楽    黛敏郎 美術 中古智

出演-高峰秀子・森雅之・仲代達矢・加東大介・団令子・中村雁治郎・小沢栄太郎・淡路恵子・中北千枝子・横山道代・塩沢とき・賀原夏子・織田政雄・沢村貞子・山茶花究・細川ちか子・菅井きん・多々良純・千石規子

 

成瀬は「鰯雲」(1958)のあと「コタンの口笛」(1959)を監督している。これはアイヌ差別を扱った成瀬には珍しい社会派映画で、ネットの評判だけを見ると佳作らしい。そして翌年1960年に、この「女が階段を上る時」を監督している。

 

3年前の「あらくれ」以来の高峰秀子主演で、成瀬映画では常連の役者たちが脇を固めている。銀座の夜の女たちを描いた、菊島隆三のオリジナル脚本でプロデューサーも兼ねている。

 

夫を事故で亡くした、身持ちの固い、雇われマダム・高峰に言い寄ってくる様々な男たちの人間模様が描かれて行く。何とか高峰をモノにしたい実業家の小沢栄太郎。下町の鉄工所を経営、下戸で独り身の加東大介。店のマネージャーである仲代達矢も高峰に惚れているが、高峰は銀行支店長の森雅之がどうも好きらしい。

 

毎月着物を新調して、月末には請求書を持って会社回りをして支払いを催促。そんな中、高峰は胃潰瘍で倒れてしまう。佃島の実家のシーンがとても秀逸だ。

 

女房に逃げられた頼りない兄・織田政雄。子供は小児マヒを患いお金が必要。お人好しの兄は上司の代わりに半を押してしまい借金を背負っている。母親・賀原夏子からも高峰は金を無心させられる。

 

そんな中、加東が見舞いにやって来る。その優しさにほだされて結婚を決意する高峰。「私もまさか鉄工所の妻になるとは・・・」なんてモノローグもあり、甘い日々が続く。しかし、加東の言ったことは全て虚言癖から出た言葉で妻子もいることが判明。

 

やけ酒煽る高峰。それを見て優しく介抱する森。その夜、二人は出来てしまうが、翌朝、森は転勤で今夜東京を発つと告げ、出ていく。泣き腫らす高峰。入れ替わり仲代が入ってきて、今度は仲代が高峰を口説き出す。

 

加東との結婚を夢見ていたのに、裏切られたとはいえ、あっという間に「あなたが好きなの」と森にすがる高峰がチョットついていけない。脚本が破綻していると思われる。

 

銀座の夜の女を描いた佳作の一本、との評価のようだが、後半につれてついていけなかった。

 

以下Wikiより転載

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『女が階段を上る時』は、1960年に公開された成瀬巳喜男監督による日本映画。脚本は菊島隆三、音楽は黛敏郎、衣装は高峰秀子が担当。成瀬と高峰によるコラボレート映画の代表作の一つ。
1961年・1970年・1985年には、テレビドラマ化もされた。

概要
ストーリーは菊島隆三が手掛けたオリジナル作品で、彼にとっては初プロデュース作品ともなった。銀座のバーを舞台に洗練されたスタイリッシュな空気を横溢する佳作。黛敏郎の手によるジャジーな音楽も都会性を盛り上げている。また、主要人物の衣装考証を主演の高峰が兼任している。
キャストにおいては男優、女優共に成瀬映画に縁の深い名優が結集し、共に華やかな顔ぶれとなった。

同時上映
『新・三等重役 旅と女と酒の巻』
原作:源氏鶏太/脚本:井手俊郎/監督:筧正典/主演:森繁久彌