めまい(Vertigo)

★★★★★

1958年(昭33)5月9日米国公開/カラービスタ/128分/アルフレッド・J・ヒッチコック・プロダクションズ製作/パラマウント配給/

製作  アルフレッド・ヒッチコック 原作  ボワロー=ナルスジャック『死者の中から』  脚本    アレック・コペル・サミュエル・テイラー 監督    アルフレッド・ヒッチコック 撮影    ロバート・バークス 音楽    バーナード・ハーマン タイトル ソール・バス・ジョン・ホイットニー・シニア

出演-ジェームズ・ステュアート、キム・ノヴァク、トム・ヘルモア、バーバラ・ベル・ゲデス

 

前作「間違えられた男」から1年半振りのヒッチコックの新作。

世界映画史に残る傑作だろうと思われる。

 

分かりやすいストリーで登場人物も少なく、緩やかなテンポで映画は進んで行く。やがてクライマックスに向かって急転直下、手に汗握るスリリングな展開となって、あっーと叫び声が上がるラストカットで、鮮やかにエンドとなる。

 

ヒッチコック自身のプロダクションで制作費を出し、自らのプロデュースで、思う存分の映画作りだったと思われる。

 

Wikiによると、スチュアートがのめり込む相手は当初、フォードの「捜索者」や「間違えられた男」のヴェラ・マイルズだったのだが妊娠のため降板、そしてキム・ノヴァクの起用となった。ヒッチコックはノヴァクのキャラクターや態度(演出面に関する口出し)に非常に不満を感じていたらしい。

 

しかし映画を見ると、クールなのに肉感的で情熱の炎が瞳の奥に宿る、キム・ノヴァクで大正解だったと思われる。ヴェラ・マイルズでは、いわゆる「女の匂い」が薄く、スチュアートが夢中になって行く過程が説得力を持たなかったろう。

 

以下Wikiより転載

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『めまい』(Vertigo)は、1958年のアメリカ合衆国のサスペンス映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、出演はジェームズ・ステュアートとキム・ノヴァクなど。パラマウント映画製作。テクニカラー、ビスタビジョン作品。日本公開は同年。

原作はフランスのミステリー作家、ボワロー=ナルスジャックの『死者の中から』。タイトルデザインはソール・バスによる。舞台はサンフランシスコを中心に繰り広げられる。

発表当時はヒッチコックの他の作品と同様、その女性蔑視のイデオロギーが批判されていた。徐々に評価を高め、近年ではヒッチコック作品の中でもトップクラスの傑作との評価を得ている。2012年には英国映画協会が発表した『世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選』の第1位に選ばれた。しかしヒッチコックはこの作品を「失敗作」と語っている。当初ヒロイン役にと構想していたヴェラ・マイルズが妊娠のため降板し、キム・ノヴァクを起用したが、監督はノヴァクのキャラクターや態度(演出面に関する口出し)に非常に不満を感じていたことが、ネガティブな評価につながっている。泳げない彼女をサンフランシスコ湾に飛び込ませたり、彼女が大嫌いであったグレー色を主要な衣装に使用したりとその仕打ちは苛烈なものだった。
ヒッチコックはヒロインの女性像を、ノヴァクのような魅惑的なものではなく、清楚で健全な女性に求めていたようである。

レストランでマデリンとスコティが初めて出会うシーンや、曲がりくねったサンフランシスコの道のりを写すカメラワークは評価が高い。

床が落ちるような「めまいショット」(一般にはドリーズームと呼ばれる)は有名で、この作品以後、数え切れないほどの映画やCM、テレビドラマで引用されるようになった。ズームレンズを用い、ズームアウトしながらカメラを被写体へ近づけることで、被写体のサイズが変わらずに背景だけが望遠から広角に変化してゆく。鐘楼のシーンでは、ミニチュアを作成して横倒しに置き、レールに置いたズームレンズ付きカメラを移動させて撮影している。スティーヴン・スピルバーグ監督は『E.T.』の街を見下ろす崖のシーンで完璧なシンクロを実現させている。

被写体にレンズを向けたままカメラが被写体の周りを回る、陶酔感あふれる撮影法も印象的である。この撮影法は、後にブライアン・デ・パルマ監督が『キャリー』『フューリー』『愛のメモリー』『ボディ・ダブル』で使用している。

タイトル映像の刻々と変化する光のパターンを製作したのは「CGの父」と呼ばれる実験映像作家のジョン・ホイットニー・シニアである。『2001年宇宙の旅』の10年も前の作品であるが、映画で見られる螺旋状の映像を連続して露光させるため、撮影手順をアナログ・コンピュータでプログラムした初期のモーション・コントロール・カメラが使われている。

この映画のフィルムは保存状態の悪さのため、非常に傷み色あせていた。これを危惧したジェームズ・C・カッツ、ロバート・A・ハリスらの手によってネガは2年かけて修復され、1996年に公開された。

映画批評家によるレビュー
Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「予測不能な恐ろしいスリラーであるとともに、愛と喪失、そして人の癒しについての悲痛な黙想でもある。」であり、83件の評論のうち高評価は94%にあたる78件で、平均点は10点満点中8.9点となっている。 Metacriticによれば、32件の評論のうち、高評価は31件、賛否混在は1件、低評価はなく、平均点は100点満点となっている。

受賞歴
第31回アカデミー賞ノミネート
美術賞 - ハル・ペライラ、ヘンリー・バムステッド、サム・コマー、フランク・マッケルヴィ
録音賞 - ジョージ・ダットン