ハリーの災難 (The Trouble with Harry)
★★★
1955年10月3日米国公開/カラービスタ/99分/パラマウント配給/
製作 アルフレッド・ヒッチコック 原作 ジャック・トレヴァー・ストーリー
脚本 ジョン・マイケル・ヘイズ 監督 アルフレッド・ヒッチコック
撮影 ロバート・バークス 音楽 バーナード・ハーマン
出演 ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン、エドマンド・グウェン、ミルドレッド・ダンノック
前作「泥棒成金」から2ヶ月後に公開されたヒッチコックの新作。
ヒッチコック監督の趣味的要素が強い、ブラックユーモア満載の映画となっている。
「ダイヤルMを廻せ」「裏窓」「泥棒成金」とヒット作を連発、常に映画タイトルの上段には「ヒッチコックの・・・」の文言が付くようになって、そのブランド力は観客からの信頼も絶大だったろう。そんなヒッチコックだから作ることの出来た映画かもしれない。
シャーリー・マクレーンは本作がデビュー作のようだが、そのピントの外れた会話とか、本人そのままのイメージを取り入れているようだ。「レモネード飲まない?」の繰り返されるセリフが可笑しい。
死体はほとんど足元からしか撮らないとか、死体の顔は一切写さないとか、そのイマジネーションの具現化が、相変わらず面白い。
ただ西洋人の好むユーモアは、やはり日本人には馴染み薄く、黄色人種の島国生まれとしては、それほど面白くはなかった。
以下Wikiより転載
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製作
主なロケ地は、バーモント州のクラフツベリーである。1954年9月27日に野外ロケが行われたが、脚本は紅葉の季節を想定していたため、葉っぱを木に貼り付けて撮影した。この映画のいくつかのシーンは、近隣のモーリスヴィルの高校の体育館を借りて撮影された。
本作中でサム・マーロウの作品とされる絵は、アメリカの抽象表現主義のアーティスト、ジョン・フェレンが描いたもので、彼はバーモント州での撮影に立ち会い、マーロウ役のジョン・フォーサイスに正しい絵画技術を指導した。ヒッチコックは、フェレンの鮮やかな色使いが、ニューイングランドの秋の色彩と共鳴すると考え、彼の作品に特に関心を寄せていた。ハリーの死に顔のスケッチは、フェレンの妻でファインアーティストでもあるライ・フェレンが現地で描いたものである。ヒッチコックとフェレンは、共同作業をとても楽しんで取り組み、このコラボレーションの結果、数年後に1958年のヒッチコック映画『めまい』の「特殊シーケンス」のコアデザインに招かれることになった。オープニング・クレジットのパノラマ・ドローイングは、ソール・スタインバーグが担当した。
アルフレッド・ヒッチコックのカメオ出演は、彼の作品のほとんどに見られるが、本作では22分14秒あたりで大金持ちが道端のスタンドで売られている絵画を見ている間に、駐車中のリムジンの前を通り過ぎる様子が映っている。
死体のハリーを演じたのは、性格俳優アーネスト・トゥルーエックスの息子であるフィリップ・トゥルーエックス(1911-2008)である。
衣裳デザインはイーディス・ヘッドが担当した。
バーナード・ハーマンはこの作品で初めてヒッチコック作品に音楽を提供した。以降1966年の『引き裂かれたカーテン』の音楽を巡って対立するまでその協力関係は続いた。
作品の評価
Rotten Tomatoesによれば、29件の評論のうち高評価は90%にあたる26件で、平均点は10点満点中7.56点となっている。