長い灰色の線 (The Long Gray Line)

★★★

1955年2月9日米国公開/シネスコカラー/138分/コロンビア製作配給/

製作:ロバート・アーサー   原作:マーティ・マー『Bringing Up the Brass』  

脚本:エドワード・ホープ   監督:ジョン・フォード  音楽:ジョージ・ダニング

撮影:チャールズ・ロートン・ジュニア/チャールズ・ラング  

出演:タイロン・パワー、モーリン・オハラ、ドナルド・クリスプ、ワード・ボンド、ベッツィ・パーマー、ロバート・フランシス、ハリー・ケリー・ジュニア    

 

前作「モガンボ」より1年4ヶ月ぶりに公開されたフォード新作。

ニューヨーク州にある、米国最古の陸軍士官学校、通称ウェストポイントに長年務める教官の自伝を映画化した作品。

 

実際の士官学校でほとんどロケしており、50年に及ぶ年代記の中で、カメラが士官学校の空間から出ることは稀で、少々息苦しい。内容はフォードの好みとする、命を懸けて国を守る軍人たちが主人公とともに描かれていく。

 

主役のタイロン・パワーは、1939年に映画雑誌の人気投票で“ハリウッド・キング”に選ばれるなど、フォックスの看板スターの地位を確立していたが、本人はステレオタイプ的な二枚目役を嫌っていたという。そんな所からこの映画の主役になったのかもしれない。ちなみに2年後に公開されたフォード監督作「月の出の脱走」では、タイロンをナレーターとして採用している。

 

タイロンとモーリン・オハラの出会いのシーンが秀逸。

タイロンがモーリンに一目惚れして立ち尽くしてしまう。凝視されているモーリンは、落ちたボクシング・グローブを蹴り上げる。我に戻ったタイロンは、カッコよい所を見せようと、ボクシングのリングに上がる。ドアの横から覗き見するモーリン。最後は相手に打ちのめされるタイロンで終わるのだが、この間セリフは一切なく、いかにもフォードらしいし出会いのシークエンスだった。

 

ただ、その次の二人の求愛シーンも含めて、映画の流れはかなり中弛みして冗長に進行していく。ラストに向かって、一気に20年も年代が進んでしまうのは、少々強引過ぎる。その間、戦死したであろうワード・ボンドの教官やら、ドナルド・クリスプの父親の描写が一切なく、せっかくの感情移入していた人物達が、断絶して描かれないのは寂しい

 

ラストシーンの、一矢乱れない下士官達の行進は壮観だが、実在の伝記の映画化の、縛りの不自由さが目立ち、少々見るのが疲れたのが正直なところ。

 

以下Wikiより転載

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『長い灰色の線』(The Long Gray Line)は、1955年のアメリカ合衆国の伝記映画。

 監督はジョン・フォード、出演はタイロン・パワーとモーリン・オハラなど。

 ニューヨーク州ウェストポイントにある陸軍士官学校の教官だったマーティン・マーの自伝を映画化した作品である。
 

アメリカンフットボールで陸軍士官学校がノートルダム大学の新戦術によって大敗するエピソードは、1913年に陸軍士官学校とノートルダム大学の試合においてノートルダム大のガズ・ドライズとヌート・ロックニーがパスプレーとランプレーを効果的に織り交ぜる新戦術により35-13で圧勝したという史実を元にしている。それまでは大学アメフトにおいて陸軍士官学校が最強チームであったが、新戦術により無名のノートルダム大学が大勝するとパスとランを織り交ぜる戦術が広まり、現代的なアメフトが完成した。

作品の評価
Rotten Tomatoesによれば、9件の評論の全てが高評価で、平均点は10点満点中7.08点となっている。