「噂の女」

★★

1954年6月20日公開/モノクロスタンダード/83分/大映京都/

企画:辻久一  脚本:依田義賢、成澤昌茂  監督:溝口健二

撮影:宮川一夫  音楽:黛敏郎  美術:水谷浩

出演:田中絹代・大谷友右衛門・久我美子・進藤英太郎・見明凡太朗・浪花千栄子・田中春男・十朱久雄・阿井三千子

 

前作「山椒大夫」から約3ヶ月後に公開された溝口監督作。

京都・先斗町の遊郭を舞台にした映画なのだが、題名の付け方が酷い。この題からは何のインスプレーションも浮かばない。

 

「浪花悲歌」「祇園囃子」の流れをくむ映画だが、今ひとつ。

遊郭を取り仕切る田中絹代と、その愛人である医者の大谷友右衛門。それに田中の娘・久我美子が絡む。最後には久我も医者によろめいて、親子の愛憎となる訳だが、視点が定まっておらず、遊女の悲しみなども描かれて、どれも中途半端で終わっていく。

 

宮川一夫のカメラも見せ場なく、黛敏郎の音楽は画面にマッチしておらず、不気味でしかない。