山の音

★★★

1954年1月15日公開/モノクロスタンダード/95分/東宝/

製作:藤本真澄 原作:川端康成 脚本:水木洋子 監督:成瀬巳喜男

撮影:玉井正夫 音楽:斎藤一郎 美術:中古智

出演-原節子・山村聡・長岡輝子・上原謙・中北千枝子・杉葉子・丹阿弥谷津子・角梨枝子・十朱久雄

 

前作「あにいもうと」から5ヶ月後に公開された成瀬監督作品。

 

原作は川端康成で、未読だがWikiによると「『山の音』は戦後日本文学の最高峰と評され、第7回(1954年度)野間文芸賞を受賞。川端の作家的評価を決定づけた作品として位置づけられている。また海外でも評価が高く、エドワード・サイデンステッカーの翻訳により1971年(昭和46年)に日本文学として初めて全米図書賞翻訳部門を受賞。2002年(平成14年)にはノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に、近代日本の作品として唯一選出された。」との事。

 

主演の原節子は、前年の秋に小津の「東京物語」の撮影を終え、次にこの作品に参加したようだ。相手役の夫には上原謙。3年前の「めし」以来の共演となっている。

 

映画内では原の義父を演じる山村聡の視点で進行していく。これは小説自体が、川端康成自身の老年の姿を投影したものに準じているようだ。成瀬の映画は、どちらかというと一人の主人公の視点のみで進行していくのは稀なので、珍しい構成ではある。

 

浮気している亭主と、それを知っていながらただ耐える妻。その妻を実子以上に可愛がる義父。その姿に嫉妬する出戻りの娘を演ずる中北千枝子が良い。屈折した性格を見事に演じている。また山村の妻役の長岡輝子も素晴らしい。ホントは死んだ姉とあなた(山村)は結婚したかったんでしょ、ときつい言葉を投げかける。イビキのシーンには大笑いした。

 

所々、小説から引用されたであろうセリフがあるのだが、ちょっと違和感がある。ラストの、最後のセリフも、よく分からないセリフだった。

 

小説に親しんだ人間にとっては、小説と映画の違いも含めて、楽しめる映画だったのではないだろうか。

 

以下Wikiより転載

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『山の音』(東宝) 95分。モノクロ、スタンダード
1954年(昭和29年)1月15日封切(一般公開は2月10日)。
原作の小説とは異なる結末となっている。なお山村聡と角梨枝子は、後述のドラマ版にも出演する。昭和29年度のキネマ旬報ベストテンの第6位。第1回アジア太平洋映画祭音楽賞、録音賞、男優賞、女優賞。公開時の惹句は、「溢れくる愁いに ひとりきく山の音 愛情のなだれか 女の嗚咽か……」である。

テレビドラマ化
1963年(昭和38年)10月13日 日曜日 22時 - 23時
『日本映画名作ドラマ 山の音』(NET〈現:テレビ朝日〉)
演出:武田知也。脚本:北條誠
出演:山村聰、水戸光子、天田俊明、桜町弘子、角梨枝子、殿山泰司
※ 1954年公開の成瀬巳喜男監督の東宝映画のテレビ版リメイク。山村聰、角梨枝子は映画版にも出演している。桜町弘子テレビドラマ初出演。


連続テレビドラマ『妻そして女シリーズ 愛の陽炎』(MBS)
1981年(昭和56年)6月29日 - 9月25日(全65回) 
プロデューサー:太田匡彦。演出:中谷正和。脚本:梅林貴久生(梅林喜久生)
出演:新藤恵美、仲谷昇、風見章子、中島久之、立石凉子、吉田哲子、藤洋子

1984年(昭和59年)4月8日 日曜日 21時 - 21時54分
東芝日曜劇場(第1422回)『山の音』(TBS)
演出:高畠豊。脚本:清水曙美。プロデューサー:石井ふく子
出演:大竹しのぶ、乙羽信子、江藤潤、山内明、石井めぐみ、音無美紀子