あなたへ

★★★

2012年8月25日公開/111分/東宝/

企画 市古聖智・林淳一郎  脚本 青島武  監督    降旗康男

撮影    林淳一郎  音楽    林祐介  美術  矢内京子

出演-髙倉健・田中裕子・ビートたけし・草彅剛・佐藤浩市・綾瀬はるか・余貴美子・大滝秀治・長塚京三・原田美枝子

 

前作「単騎、千里を走る」から約6年半後に公開された、髙倉健最後の主演映画。

監督は相変わらずの降旗康男だが、撮影は木村大作ではなく、この映画の企画者にも名を連ねる林淳一郎。

 

内容は亡き妻の故郷へ、富山から長崎・平戸まで車で移動する途中、様々な人達と知り合うロードムービーとなっている。「単騎、千里を走る」と良く似た内容に、健さん自身も乗り気なのではなかったろうか。

 

81歳となった健さん、最初の刑務所内を歩くフルショットでの、老人の背格好に衝撃を受けた。このカットはカットすべきではなかったろうか。敢えて健さん自身が使うのをOKしたのだろうか?。

 

車の走行シーンやら、たけしとの湖畔の会話シーンとかCG合成が多い。スケジュールの関係もあるから仕方ないだろうが、この時代の技術ではまだまだ不自然さが目立つ。

 

草彅剛や佐藤浩市、綾瀬はるか、大滝秀治など次々と話に絡んできて飽きさせない。坂道での写真館に飾られた田中の写真。そして散骨のシーンと流れも良い感じ。海の底に沈んでいく白い骨のカットも美しかった。

 

ただエピローグ風な、佐藤が実は遭難したと思われていた余貴美子の夫だったってのは余計だと思える。そして弁当を売る草彅を遠くから見つめて、歩き去っていくラストカット。横移動の長いカットにエンドロールがWる、このカットが全く美しくない。髙倉健、最後のスクリーンの絵にしては余韻も何もない、スカスカのラストカットだった。

 

この映画公開から2年後の2014年11月10日に、高倉健は悪性リンパ腫で死去する。劇中の田中裕子も悪性リンパ腫で亡くなった設定となっていた・・・。

 

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俳優生活58年で205本の映画に出演した高倉健。1960年公開の主演作「殴り込み艦隊」から、公開順に主演映画を見て来て、ちょうど90本となった。東映映画の大スターからフリーになっても常に主役を演じ、最後の映画も主演で終えた映画人生だった。もうこんな映画俳優は二度と現れないだろう。

 

以下Wikiより転載

『あなたへ』は、2012年8月25日に公開された日本映画。降旗康男監督、高倉健主演。公開直後の10月2日に死去した大滝秀治と2014年11月10日午前3時49分に死去した高倉健の遺作となった。また、この映画の脚本を基に森沢明夫による小説が書かれた。

概要
高倉にとって2006年の『単騎、千里を走る。』以来6年ぶりの主演映画、205本目の出演映画であり、高倉が監督の降旗と組んだ20作目にあたる。元々は高倉の主演作の企画が持ち上がった際、『夜叉』(1985年)、『あ・うん』(1989年)などをプロデュースした故・市古聖智が遺したシノプシスを、市古の関わった数々の作品でカメラマンを務めた林淳一郎が降旗に紹介。降旗が興味を示した事に始まる。オリジナルのストーリーは非常に長いものだったため、脚本の青島武、降旗、東宝側のプロデューサー、そして林の4名で内容を整えていったものである。企画者として、市古と並び、撮影監督の林の名前が列挙されているのはこうした経緯による。

封切り・受賞
第36回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門に正式出品。エキュメニカル賞特別賞を受賞。高倉は1994年に「四十七人の刺客」でヴェネツィア国際映画祭を訪れて以来18年ぶりに海外の映画祭の現地で会見した。

全国339スクリーンで公開され、2012年8月25、26日の初日2日間で興収2億3,723万1,500円、動員21万9,164人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第2位となった。

2012年11月27日、主演の高倉が本作により「第37回報知映画賞」主演男優賞を受賞。「第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」においても、高倉が主演男優賞、本作は石原裕次郎賞を受賞した。

2013年3月8日、第36回日本アカデミー賞にて優秀作品賞、優秀監督賞(降旗康男)、優秀脚本賞(青島武)、優秀助演男優賞(佐藤浩市)、最優秀助演男優賞(大滝秀治)、最優秀助演女優賞(余貴美子)、優秀美術賞(矢内京子)、優秀撮影賞(林淳一郎)、優秀照明賞(中村裕樹)、優秀音楽賞(林祐介)、優秀録音賞(本田孜)、優秀編集賞(菊池純一)を受賞。