「見知らぬ乗客」 (Strangers on a Train)

★★★★

1951年7月3日米国公開/モノクロスタンダード/101分/ワーナー・ブラザース/

製作  アルフレッド・ヒッチコック  原作 パトリシア・ハイスミス 『見知らぬ乗客』

脚本  レイモンド・チャンドラー チェンツイ・オルモンド 

監督  アルフレッド・ヒッチコック撮影    ロバート・バークス  

音楽  ディミトリ・ティオムキン 編集    ウィリアム・H・ジーグラー

出演-ファーリー・グレンジャー、ロバート・ウォーカー、ルース・ローマン、パトリシア・ヒッチコック、レオ・G・キャロル

 

前作「舞台恐怖症」以来、1年5ヶ月ぶりのヒッチコック新作。

イングリッド・バーグマン主演のヒット作を連発後、初カラー作品であり実験的異色作「ロープ」が興行的には失敗だったらしく、、予算縮小した準クラス俳優の主演で「山羊座のもとに」「舞台恐怖症」を撮ってきたヒッチコックの、再び脚光を浴びる事となった傑作作品ではないだろうか。

 

推理作家レイモンド・チャンドラーを脚本に迎え、電車の中で出会った見知らぬ乗客が、交換殺人を持ち込むというテーマは当時、斬新だったろう。

 

悪役であるブルーノの人物造形が素晴らしい。資産家の放蕩息子で、性格は残忍、さらにマザコンで・・・。Wikiで調べたら何とブルーノを演じたロバート・ウォーカーはこの映画の撮影直後に32歳で急死している。また何とジョン・フォードの娘との結婚歴もある。

 

以下Wikiより転載。

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ロバート・ウォーカー(Robert Walker, 1918年10月13日生まれ)

幼い時に両親が離婚したことで精神的に不安定で攻撃的な性格となり、学校に上がっても何度も放校される。そんなロバートの問題行動を抑えるのに効果を見せたのが演技であった。カリフォルニアドにあるアーミー・アンド・ネイビー・アカデミーの学芸会で主演を務めた後、演技コンテストに出場して最優秀賞を受賞する。
1937年にニューヨークに移り演技を学ぶようになり、同期の学生フィリス・リー・イスリー(後の大女優ジェニファー・ジョーンズ)と出会う。恋に落ちた2人は1939年に結婚。新婚旅行をかねてハリウッドに渡って仕事を探すがエキストラ程度の仕事しか得られず、ニューヨークに戻って新婚生活を始める。1940年、長男ロバートが生まれる。1941年に次男マイケルが生まれた後、再びフィリスがオーディションを受けるようになると、ハリウッドを代表する名プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックの目に留まり、フィリスはジェニファー・ジョーンズという芸名を与えられる。このころからフィリスとセルズニックの不倫は始まっていた。

これをきっかけに夫婦でハリウッドに移り、ロバートもセルズニックの後押しでMGMと契約。1943年の戦争映画『Bataan』でデビューする。その後は「隣のおにいちゃん (boy next door)」の親しみやすい青年イメージでいくつかの作品に出演する。一方のフィリスは『聖処女』(1943年)の主演で華々しくデビューし、いきなりアカデミー主演女優賞を受賞する。

夫婦ともに順調なキャリアを歩み始めていたが、フィリスとセルズニックの不倫に精神的に打ちのめされたロバートは泥酔しての乱行で逮捕されるなど、酒に溺れるようになる。不倫が既に公然の秘密となっている中、セルズニックは『君去りし後』(1944年)でロバートとフィリスの2人を恋人役で起用する。冷め切った仲の妻フィリスとのラブシーンはロバートにとって苦痛以外の何ものでもなかったが、セルズニックは2人のラブシーンを何度も何度も撮り直した。撮影期間中の1943年11月に2人は別居し、1945年6月20日に離婚が成立する。

 

その後もロバートの仕事は順調であったが、私生活ではますます酒に溺れるようになる。1948年にジョン・フォード監督の娘で映画編集技師のバーバラ・フォードと結婚するが、ロバートの奇行が一段と目立つようになり、泥酔して逮捕されるなどしたことから、わずか5ヶ月で離婚。その頃、前妻フィリスがセルズニックと結婚。このことがますますロバートを精神的に追いつめることとなる。
1951年に生涯の代表作となる『見知らぬ乗客』に出演。その演技が絶賛され、これをきっかけにキャリアは上昇に向かう。しかし同年8月28日、『マイ・サン・ジョン/赤い疑惑』の撮影が終了する前に、32歳で急死する。異常な興奮状態(飲酒が原因と見られる)にあった彼に主治医の精神科医が投与した鎮静剤により、体内のアルコールとの相助作用で急性のアレルギー反応を起こしたためであった。

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またこの映画にはヒッチコックの一人娘が、パトリシア・ヒッチコック名で出演している。

ブルーノが交換殺人で絞殺した女と、同じような眼鏡を掛けている所から、ブルーノの心情を翻弄させる、まあ必然の役ではあるが、監督の実の娘という訳で、少しアップが多かった。

 

以下、死去した時の記事を引用

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ヒッチコック監督の一人娘が死去 元女優のパット・ヒッチコックさん 93歳
[ 2021年8月12日 14:41 ]


 スリラー映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督(1980年に80歳で死去)の一人娘で、同監督が1951年に製作した「見知らぬ乗客」に出演している元女優のパット・ヒッチコックさん(本名・パトリシア・オコネル)が9日、カリフォルニア州サウザンドオークスの自宅で老衰のために死去。AP通信によれば娘のテリー・カルーバさんが11日に明らかにしたもので、93歳だった。
 パットさんは1928年にロンドンで生まれ、1939年に両親とともにロサンゼルスに移住。演劇学校を出て女優となり父の作品にも出演した。ヒッチコック監督の妻でパットさんの母親でもあるアルマ・レビルさん(1982年に82歳で死去)は、ヒッチコック作品のマネジメントを長年にわたって務めたアドバイザー兼編集者。パットさんは母の仕事をその後受けついでいた。
 1952年にジョセフ・マコネル氏と結婚(1994年に死別)。同氏との間に3人の娘をもうけている。

 

以下Wikiより転載

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『見知らぬ乗客』(Strangers on a Train)は、1951年のアメリカ合衆国のサイコスリラー映画。

監督はアルフレッド・ヒッチコック、出演はファーリー・グレンジャーとロバート・ウォーカーなど。パトリシア・ハイスミスの同名小説をハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーらが脚色して映画化した作品で、列車に乗り合わせた見知らぬ乗客から交換殺人を持ちかけられたテニスプレーヤーを描いている。

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「挑発的な基本設定と独創的なセットデザインがヒッチコックの悪魔のように面白い傑作への道を照らしている。」であり、50件の評論のうち高評価は98%にあたる49件で、平均点は10点満点中8.8点となっている。

 Metacriticによれば、15件の評論のうち、高評価は14件、賛否混在は1件、低評価はなく、平均点は100点満点中88点となっている。

受賞歴
第24回アカデミー賞   撮影賞(白黒部門)    ロバート・バークス    ノミネート
第23回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞(英語版)  作品賞        ノミネート
第4回全米監督協会賞   長編映画監督賞    アルフレッド・ヒッチコック    ノミネート