007/美しき獲物たち
(A View To A Kill)
 ★★★

1985年(昭60)7月6日公開/131分/カラー/シネマスコープ/配給 ユナイテッド・アーティスツ 
製作  アルバート・R・ブロッコリ    脚本    リチャード・メイボーム マイケル・G・ウィルソン
監督 ジョン・グレン 撮影 アラン・ヒューム    音楽    ジョン・バリー 美術 ジョン・フェンナー
出演-ロジャー・ムーア、タニア・ロバーツ、クリストファー・ウォーケン、グレース・ジョーンズ、パトリック・マクニー、パトリック・ボーショー

前作からちょうど2年後に公開された007シリーズ第14作目。

ロジャー・ムーアのジェームス・ボンド役の最終作。
脚本・監督は前作に続いてのジョン・グレンとリチャード・メイボーム。相変わらずの及第点の面白さがある。

今回の悪役はクリストファー・ウォーケン。
KGBの幹部に「試験管ベイビー」と罵られ激高するシーンがあるが、もっとそうなった経緯を知りたかった。またグレイス・ジョーンズとの格闘セックスシーンやら、ラストの銃乱射シーンやらがあるが、もう少し変態シーンが見たかった。

雪山での追っかけ、乗馬の競争シーン、深夜の梯子車暴走、そしてラストの気球での死闘と盛りだくさん。

ロジャー・ムーアの007シリーズは合計7本が公開された。
ショーン・コネリーとは違うジェームス・ボンド像が確かに確立できたと思う。
12年間どうもお疲れ様と言いたい。

以下Wikiより転載

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『007/美しき獲物たち』(原題: A View to a Kill)は、ジョン・グレン監督の1985年のスパイアクション映画。
「ジェームズ・ボンド」シリーズ第14作目。原作小説はイアン・フレミングの短編『バラと拳銃』(From a View to a Kill)である。
ロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じた最後の作品である。

ショーン・コネリーの降板後、1970年代、1980年代にわたって新しいファンを獲得して大衆文化の旗手を守り続けたムーア・ボンド最後の作品。ムーアボンドの集大成となるべく製作された。『ユア・アイズ・オンリー』、『オクトパシー』に続き、スタントアクションを大幅に取り入れつつ、ムーアの持ち味であるユーモア性を融合させた。スキー&スノーボード、カーチェイス、騎馬上での格闘、飛行船を追っての空中スタント、ゴールデンゲートブリッジの欄干上での格闘などスリリングな見所多数の大作。また、作風は『オクトパシー』のコミカル路線から再びシリアス路線に戻った。

興行成績
1984年6月27日にパインウッド・スタジオの007ステージが全焼するというトラブルの中、製作費3000万ドルをかけて作られた作品ではあるが、世界中で1億5240万ドルの興行収入をあげる大ヒット作となり、"ムーア"・ボンドが有終の美を飾った。アメリカにおいても5030万ドルという1985年全米第10位の興行収入をあげた。1985年の映画の世界興行成績で第5位。日本では1985年度の外国映画の配給収入で第5位。

ムーアは撮影時57歳であり、現在においてもボンドを最高齢で演じた俳優である。このため、ほとんどのアクションシーンにスタントマンを使用していた。ちなみに、「初代」ショーン・コネリーによる最後の出演は1983年の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で52歳である。ムーアは、タニア・ロバーツの母親の方が自分よりも若いことを知って降板の決意をしたという。ムーアはこの映画をボンド映画の中で「最も好きではない映画」と語っていた。

ロイス・マクスウェルがマニーペニーを演じた最後の映画でもある。本人が「もう限界」と降板を希望したため、そのはなむけとして、マニーペニーが華やかな衣装をまといアスコット競馬場に出かけるシーンが書き足されたという。また、彼女はアルバート・ブロッコリに「Mに昇進させてもらえないかしら?」と冗談で言った所、真顔で「う〜ん。Mに女性は無理があるよ」と答えたという。余談だが、1990年代に実際のイギリス保安局のトップが女性だということが判明。007シリーズでも『ゴールデンアイ』からM役が女性のジュディ・デンチに交代され、以後『スカイフォール』まで務めた。

ゾーリン役のクリストファー・ウォーケンは、ボンド映画の悪役としては初のアカデミー賞受賞歴のある俳優である。本人がボンド映画の大ファンということが配役決定の理由の一つ。前作でも悪役にフランスの名優ルイ・ジュールダンを起用していたが、脇役には大物ではなく地味でもひと味ある俳優をというシリーズの伝統を完全に破る、異例のキャスティングとなった。
ゾーリン役は、当初デヴィッド・ボウイが考えられていたほか、テレンス・スタンプ、イアン・マクダーミドが候補になっていた。

メイデイ役のグレイス・ジョーンズは役とは正反対に怖がりで、炭鉱内の洪水のシーン撮影時は絶えず悲鳴を上げていた。
タニア・ロバーツは、ボンドガールを演じるにあたって、黒髪だった髪を金髪に染めた。
『黄金銃を持つ男』と前作『オクトパシー』でボンドガールとなったモード・アダムスが本作の撮影現場を訪ね、フィッシャーマンズワーフの群集の中の一人としてエキストラ出演した。

主題歌
それまでの007シリーズとは趣を変更し、当時人気絶頂期だったデュラン・デュランが起用され、同タイトル曲は大ヒットとなった。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位2位、アメリカのビルボード誌の「Hot 100」では、最高位1位と007史上最大のヒット主題歌となった。日本でもオリコン洋楽シングルチャートで1985年7月8日付から6週連続1位を獲得した。また、ジョン・バリーが担当した同サウンドトラック・アルバムは、最高位38位と久々にトップ40位以内に入った。
主題歌「A View to a Kill」は、これまでのボンド映画の音楽のほぼすべてを担当してきたベテランのジョン・バリーと、1980年代のロックシーンを一世風靡したデュラン・デュランのコラボレーションによる。そのため従来のボンド主題歌とは一風趣が異なり、ユーロロックやニューロマンティックの要素を取り入れたポップ調になっている。

原題 “A View to a Kill” はそれ自体では意味をなさない。これは原作小説のタイトルが “From a View to a Kill” だったのを、映画化にあたって語呂が悪いと頭の From を取ってしまったためであるが、007シリーズにおいて「セリフの中で映画のタイトルを必ず一度は誰かが言う」という伝統があることから飛行船に乗ったゾーリンとメイデイがサンフランシスコ湾を一望のもとに見下ろすシーンで、メイデイが「What a view!(なんて素晴らしい眺めなの)」とつぶやくと、横からゾーリンが不気味に「To a kill...(殺戮のね…)」とフォローするという、苦心の脚本になっている。

オープニングのシベリアにおけるアクション・シーンは、実際はアイスランドと、スイスのピッツ・バリュ氷河で撮影された。
壊れたスノーモービルのスキーを、ボンドがスノーボード代わりに利用するシーンがある。当時、スノーボードはスノーサーフィンと呼ばれ、一般にはポピュラーではなかった。BGMにギデアパークのカバーしたザ・ビーチ・ボーイズの『カリフォルニア・ガールズ』が流され、劇場では笑いが湧き起こった。スキー・アクションを監督したのは、『女王陛下の007』、『私を愛したスパイ』、『ユア・アイズ・オンリー』のスキー・シーンにも携わったウィリー・ボグナー(Jr.)。

ボンドはオーベルジン探偵とエッフェル塔展望台のレストランで会食するが、エッフェル塔展望台には実際に「ジュール・ヴェルヌ」というレストランがある。エッフェル塔からパラシュートでダイビングしたメイデイを、ボンドはタクシーを奪い追跡する。メイデイは、アンヴァリッド橋を過ぎたあたりでバトー・ムッシュ(セーヌ川クルーズ船)に降下。追いついたボンドは、アレクサンドル3世橋の上から、この船に飛び降りる。
ゾーリンのシャトーは、シャンティイ城で撮影。
劇中に出てくるロンバース・ランディングはユニバーサル・スタジオ・ジャパンのサンフランシスコ・エリア(バックドラフトのアトラクションの入り口付近)で再現されている。2008年10月13日まではレストランとして営業していた。
ボンドとチベット卿の乗るロールスロイス・シルバークラウドIIは、プロデューサー、ブロッコリの車が使われた。

ゾーリンの飛行船は、イギリス製、スカイシップ6000。終盤に登場する小型飛行船は、同じくスカイシップ500。この飛行船は、映画の中では短時間で膨らむようになっていたが、実際は完全に膨らむまでに24時間を必要とする。

サンフランシスコに着いたボンドは、CIAのチャック・リーとフィッシャーマンズワーフで落ち合う。
ボンドとKGBスパイのポーラ・イワノヴァが入ったのは、「ニッポン・リラクゼーション・スパ」。隣は「レストラン都」。
ステイシーの屋敷は、オークランド近郊のダンスミュイール邸で撮影。
当時のサンフランシスコ市長、ダイアン・ファインスタインが大のロジャー・ムーアファンだったため、実際の庁舎を火災のシーン撮影に使用することを快く承諾した。公共の建物の中でのアクションシーンはシリーズでも非常に珍しい。

クライマックスの廃坑は、サンフランシスコ・ベイエリアのサンラファエル近郊にあるバソールト鉱山と、イギリスのステインズ=アポン=テムズ近くの水没した石切り場およびアンバーリー・チョーク・ピッツ博物館(現在のアンバーリー博物館&遺産センター)で撮影。

『私を愛したスパイ』より続いてきたセイコーとのタイアップは、本作で終了。今回は、特殊機能を備えた腕時計は登場しない。使用機種は「7A28-7020」、「H558-5000」。

1985年7月27日、リドリー・スコット監督『レジェンド/光と闇の伝説』の撮影中、パインウッド・スタジオの007ステージが火災のため焼失。再建を待ったため、廃坑内の大セットの製作と撮影が大幅に遅れた。
ゾーリンの野望はシリコンバレーを壊滅させることで半導体の世界市場を独占することであったが、実際には本作が公開された1985年の半導体の世界シェアは、その約51%を日本系企業が占めていたことに加え、供給過剰のためこの年から世界的な半導体不況が続いた。
ボンドはゾーリンの陰謀を阻止した功績で、外国人で初めてレーニン勲章を授与される(受け取ったのか辞退したのかは不明)。これはシリーズ最長の12年間、7作連続登板したムーアへの敬意を表したもの。ソ連の半導体研究は、シリコンバレーに頼っているからという落ち。