ゴジラの逆襲★★★

1955年(昭30)4月24日公開/東宝/82分/
モノクロ/スタンダード      
製作    田中友幸    脚本    村田武雄 日高繁明     監督    小田基義
撮影    沿道精一    音楽    佐藤勝     美術    北猛夫
特技監督    円谷英二     撮影    有川貞昌    美術    渡辺明 合成     向山宏     

照明    城田正雄     造形    利光貞三 操演     中代文雄     

撮影助手    富岡素敬・真野田陽一・高野宏一・円谷一     

美術助手    井上泰幸・入江義夫・成田亨・飯塚定雄 
出演-小泉博・若山セツ子・千秋実・志村喬・清水将夫・沢村宗太郎・土屋嘉男・恩田清三郎
 

前作「ゴジラ」大ヒットにより、半年後に公開された「ゴジラ」第二作。

前作の流れをくんで東京は壊滅したので、今回の舞台は大阪と北海道。

二頭目のゴジラ初登場シーンが呆気なく、すぐにアンギラスも登場して決闘始めるのがもったいない。なぜもっと「溜め」をしなかったのか。
ゴジラが大阪を壊滅させた後、次にオホーツク辺りの島に出現するのが突飛過ぎる。
急ごしらえなので構成脚本がまずく、映画としては失敗作だろう。ラストの雪崩のくだりもしつこすぎる。

特撮に関しては、怪獣のぬいぐるみ技術がかなり向上したようで、取っ組み合いの対決もロングで捉えられている。またコマ落としの低速撮影が、敏捷性に優れたアンギラスの動作にマッチしている。Wikiによるとこれはケガの功名らしいが、次のゴジラ登場作「キングコング対ゴジラ」にも受け継がれている。

ゴジラ自体は前作より首長のスマートな体型となっている。口の開閉も動力で動かしているようだし、尻尾の操演もキビキビしている。

以下Wikiより転載
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前年11月3日に封切り公開された第1作『ゴジラ』が空前の大ヒットを記録。プロデューサーの田中友幸は、「この大ヒットで我々は気負いたった」と語っており、製作本部長・森岩雄の命により直ちに続編の企画が起こされた。
先に企画が進んでいた『獣人雪男』を先送りする形で急遽制作決定したため、撮影期間は3か月に満たなかった。田中は「準備期間が短く、成功作とは言い難かった」と振り返っている。

田中の依頼で、前作で原作を担当した香山滋が本作でも原作を担当している。しかし、前作で殺してしまったゴジラをまた登場させるという話作りに苦労し、熱海の馴染みの旅館「緑風閣」に泊まり込んで草案を練るも行き詰まった香山は、「温泉に飛び込んだところ、一気にインスピレーションが湧いた。1954年12月20日、午後5時30分、ゴジラ第二世(1955年〜1975年)はかくして熱海の温泉内で誕生した」と語っている。
香山はゴジラに対する愛着から再びゴジラを殺すのは忍びなく、氷の中に閉じ込めるという結末になった。
なお、香山はこれ以降の続編を書くことを何度か依頼されるも、「ゴジラを殺すのがかわいそうだから、もうこれ以上は書きたくない」と、かたくなに拒み続けた。

監督は『恋化粧』の演出中及び『獣人雪男』の準備中だった本多に代わり、『透明人間』の小田基義が担当している。
前作に続いて脚本を担当した村田武雄は、極限状態での人間ドラマを盛り込もうとの意図で、脱走囚人のエピソードを織り込んだという。村田本人はもっとこういったものを盛り込みたかったが果たせなかったとして、本作について残念がっている。

音楽を担当した佐藤勝は、ゴジラの不気味さを表現するため、録音したテープを逆回転させる技法を楽曲中に採り入れている。

興行面では、宣伝部によってトラックに等身大のゴジラとアンギラスの作りものをジオラマ風に飾り付けた宣伝カーが用意され、撮影所でのイベントと併せて都心一円を巡回し、大いに話題となった。興行館側も劇場前に両怪獣の巨大な張りぼてを飾り、派手な宣伝が行われた様子が写真資料に残されている。また、前作同様のラジオドラマも制作・放送された。劇中の「海洋漁業」関連の描写には、大洋漁業がタイアップ協力している。

本作は、東宝特撮映画を支えてきた円谷英二の名に「特技監督」の称号が冠せられ、単独で「監督」記名された初の記念すべき作品である。
それまで円谷のクレジットは「特殊技術」との名目のみだった。有川貞昌は『ゴジラ』での成功で、それまで本編の添え物的扱いだった「特撮班」が、ようやく正当な待遇を受けられるようになったと述懐しており、これはその一環である。

また、前作『ゴジラ』では、東宝内に特撮用ステージが無く、狭いスタジオに工夫を重ねてセットを組んだ特撮美術スタッフだったが、本作ではこれも前作での成功を受け、特撮用に「第8ステージ」が新設されていて、このステージ一杯に、大阪市街のミニチュアセットが組まれた。
大阪湾・大阪市役所・淀屋橋・北浜・大坂城と、各名所でロケハンが行われ、実景写真に合わせた精巧なミニチュアが作られた。本編班の実景ロケは朝日放送前でも行われ、特撮班もこれに立ち会っている。

大坂城のミニチュアは50万円(当時)かけて作られた。丈夫に作り過ぎて、本番でゴジラが体当たりしてもうまく崩れてくれず、NGとなった。続いて改修し、裏からワイヤーで引っ張って壊れる算段としたが、スタッフがゴジラの襲撃前にタイミングを勘違いしてワイヤーを引いて壊してしまった。
結局、2週間かけて半壊したミニチュアを修理し、再度撮影を行っている。だが、取材陣はこのアクシデントに大喜びして報道。怪我の功名で宣伝は大成功だった。

撮影時期は真冬ではあるが、ラストの氷山のシーンのために、本物の氷が製氷業者から数トン分トラックで運び込まれ、借りてきたベルトコンベアーで細かく粉砕したものを敷き詰めて氷山のセットが組まれた。さらにゴジラが氷に埋まるシーンでは、後楽園遊園地のスケートリンクから借りた製氷器で作った氷雪が使われた。このシーンではセットの下にいた造形助手の開米栄三が生き埋めになったが大した怪我はなかった。

円谷英二の長男一が前作に続き、撮影助手として特撮班に加わっている。学習院大学理学部物理科生という経歴から、父の英二から「特撮に使えるいい素材は無いか」とつねづね相談されていた一は、ガラスを特殊コーティングした「ハーフミラー」を創案。特技監督の英二によって、合成画面に使用されて効果をあげている。

ゴジラとアンギラスとの格闘シーンは、当初4倍の高速度撮影(スローモーション)で撮る予定だったが、撮影助手の高野宏一が撮影速度のコマ数設定つまみを間違えて、微速度撮影(コマ落とし)にするミスをしてしまい、異様に素早い怪獣の動きとなったフィルムが編集で上がってきた。ところが円谷英二はこの素早さが野獣の格闘らしいと面白がり、以後コマ落としの手法のまま両怪獣の撮影が進められた。

神子島のシーンで偵察機からの俯瞰のゴジラは30cmのゼンマイ人形が作られた。撮影中に中島春雄は同じ型から人形を作成・着色し現在も自宅に飾っている。