迷惑だったかというとそうでもない。
私は目立ちたがりだったし、自惚れ屋でもあったので、
「貴様らそんなに私が好きか」と内心慢心していた。
しかしそんなくだらない事で悦に入ってると女子に嫌われるだろ。
「男子にからかわれて困ってます」ヅラは死守しといた。
自分の名前が好きか嫌いか―――。
世間受けはいいと思うけど正直自分には合ってないと思う。
おしとやかすぎんだよ。
あと、出来ればもっと頭良さげなのが良かったな。
大昔の書籍は巻末に作者の住所が記載されていた。著者にファンレターなりご意見なりをしたい場合、編集部や出版社を通さず、直接手紙が送れたわけだ。みんな人が好くて外出する時、鍵なんかかけなくてもいい時代だったからってのもあるだろうけど、交通機関が発達してなくて、例えば悪意ある人が遠方から訪ねて来たくても、交通費がかかりすぎて断念というのもあったろう。今と違って日本全体が貧乏だった時代、そもそも本を買う層も少なく、お金がないから図書館で借りるという時代だった。
一般の書籍巻末から著者の住所が消えた後も、同人誌の奥付には作者の住所が記載されていた。何年か同人から足を洗っていて、最近久々に同人誌を買ったら、奥付はサイトアドレスやメルアド記載に留まるのが当然になってた。今では「つい一昔前までは同人作家の住所記載が当たり前だったなんて信じられない」と言われてるらしい。そういえばネツトが一般に普及してきた頃、プロバ提供のメルアドをサイト上に晒してるのなんてよくある事だったのに、みんないつの間にかフリメを使うようになったっけな。みんなだんだんと学習していった。