オーヴィルは会社設立後に経営を離れて10年後にこの世を去ります。
1918年のお話。

当時のGibson社は社名の通りマンドリンを中心に製作していましたが当然のことながらギターも製作しています。

でも、それは皆さんが知っているギターの形では有りませんでした。
そのスタイルはマンドリンを大きくした様なスタイルでした。
ギターとマンドリン音楽が繁栄する様になり新たなスタイルのギターの製作に取り組む様になります。

その中で Gibson社 の試行錯誤が始まるのですがギター製作が本格的にスタートする頃に特筆するべき特許を出すことになります。
その特許は2点有ります。

それは、1920年に特許出願をした弦高調整可能なアジャスタブルサドル(1921年に取得)


アーチに対して自由に弦高を調整できるブリッジです。



このスタイルのブリッジはアーチトップ楽器(当時はマンドリン)にとってはとても便利なものになり、その構造による音の出方が今の音楽に大きく寄与しています。

アジャスタブルになる前のブリッジ

後々この発明はギターがエレクトリック化するのに大きな影響を与えます。

それに翌年の1921年におそらく弦楽器については世紀の発明になるアジャスタブルトラスロッド(1923年に取得)が登場します。


元々のスタイルはネックに素材の違う硬い木(エボニー)を加工してネック仕込んでネックを曲がらない様に加工していました。
※トラスト(信頼)+ロッド(杖・棒状のもの)

当時、ガット弦から鉄弦へ移行するにあたり楽器にかかる負担(テンション)は大きくなるばかりでした。

特に鉄弦をはり、アーチ状に造るマンドリンはテンションも高く従来のエボニーのトラストロッドでは剛性が弱く曲がってしまいます。

そこでより強度のある金属のバーにネジを切り曲がった場合にそのネジを回す事により曲がった鉄を引っ張る事によりネックの曲げを直すものをネックの中に仕込んだのです。

今の様に自由度のあるものではなかったのですが、この発想は現在の楽器作りには無くてはならないものになっている事は間違い無いのです。

トラストロッドはアジャスタブルになり本当に“信頼の魔法杖”になったのです。