こんにちは。五枢会の武藤由香子です。
臨床を行っていると、このような場面に遭遇することはありませんか?
「教科書通りに診察し、効果的なはずの治療をしたのに、患者さんの症状がまったく変化しない…」 「前回と同じ施術をしたのに、今回はなぜか効果が出ない…」
どれほど臨床経験を積んだ鍼灸師であっても、治療効果が思うように上がらず、「次の一手をどう打つべきか」と悩む瞬間は必ず訪れます。
そのような場合、まずは刺激量の調整をしてみます。
しかし、それで効かない場合は、「症状がどこから来ているのかをもう一度捉え直し、アプローチそのものをガラリと変えること」です。
効果が出なかった時、「この症状は本当にその部位の問題なのか?」と視点を切り替えることで、臨床の壁を破ることができます。
今回は、アプローチを変えることで劇的に改善した2つの臨床例をご紹介します。
【事例1】足のしびれ:腰椎へのアプローチで不変 → 梨状筋への切り替えで改善
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が疑われ、下肢のしびれを訴える患者さんに対し、腰椎のアライメント調整や腰部への刺鍼を行っても症状が全く変わらないケースがありました。
理学テストを行ったところ、Kボンネットテスト陽性でした。
この場合、しびれの原因は腰椎ではなく「梨状筋による坐骨神経の圧迫(梨状筋症候群)」である可能性あります。
実際に腰部から梨状筋・殿部へのアプローチへと切り替えたところ、長年続いていた足のしびれがその場で大幅に改善しました。画像診断や従来の病名にとらわれず、解剖学的な神経走行や理学テストから原因部位を再評価することが重要です。
【事例2】殿部痛:坐骨神経へのアプローチで不変 → 股関節の治療で改善
殿部痛(お尻の痛み)に対して、坐骨神経の走行に沿った刺鍼や腰殿部への治療を続けても変化が出ないケースも少なくありません。
この場合、痛みの真の原因が股関節の機能障害(支持力低下・可動域制限・血流障害)から来ていることがあります。
坐骨神経へのアプローチから「股関節の治療」へと切り替えたことで、殿部への過剰な負担が抜け、急速に症状が改善へと向かいました。痛む部位そのものではなく、「股関節」という隣接関節の動態に着目することがブレイクスルーの鍵となります。
このように、臨床で結果が出ない時に「どこから症状が来ているのか」を多角的に捉え直し、アプローチを変える引き出し(診断力・臨床力)を持つことが重要です。
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五枢会 代表/自由が丘ムトウ針灸院 院長 武藤 由香子
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