臨床の中で、「お尻が痛い」「太ももの裏がしびれる」と訴える患者さんに遭遇することは非常に多いと思います。
その際、反射的に「坐骨神経痛だろう」と判断してアプローチを始めてしまい、思うように効果が出なかったという経験はありませんか?
実は、殿部周辺の痛みには非常によく似た部位に現れる「まぎらわしい症状」がいくつも隠れています。
痛む場所が似ているからこそ、原因を丁寧に見極めないと取穴の軸がブレてしまい、治療効果が安定しなくなってしまいます。
今回は、「まぎらわしい症状(3)殿部の痛み」として、特に臨床で混同しやすい3つの病態、鑑別するための理学テスト、そしてそれぞれの鍼灸治療アプローチを整理してみます。
◆ 痛みの部位が酷似する3つの原因・鑑別テスト・鍼灸治療
患者さんが「このあたりが痛い」と指さす場所が同じであっても、その背景にある原因は全く異なります。それぞれの病態に合わせた理学テストと選穴を組み合わせることで、再現性の高い治療が可能になります。
1. 坐骨神経痛
o 背景:腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、主に腰椎レベルでの神経根圧迫や牽引ストレスによって、殿部から下肢にかけて痛みやしびれが生じるタイプです。
o 鑑別テスト:SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)
o 鍼灸治療:坐骨神経圧痛点へのアプローチ
2. 股関節痛
o 背景:変形性股関節症など、股関節自体の病変やアライメントの不整、股関節の伸展制限によって、殿部や鼠径部に痛みが波及するタイプです。
o 鑑別テスト:パトリックテスト、エリーテスト
o 鍼灸治療:外志室、大腰筋を狙った衝門へのアプローチ
3. 梨状筋由来の痛み
o 背景:骨盤帯の歪みや筋緊張のアンバランスにより、梨状筋が過度に緊張して局所の痛みをもたらしたり、そこを通過する坐骨神経を絞扼したりするタイプです。
o 鑑別テスト:K-ボンネットテスト
o 鍼灸治療:胞肓、秩辺、環跳へのアプローチ
◆ なぜ鑑別と適切な選穴が必要なのか?
これらはすべて、主訴となる痛みの部位が非常によく似ています。そのため、患者さんの「お尻が痛い」という言葉だけに頼ると、誤った見立てをしてしまうリスクがあります。
理学テストを用いて坐骨神経痛なのか、股関節の機能障害なのか、あるいは梨状筋による絞扼なのかを的確に見極める必要があります。
【(YouTubeライブ配信案内)】
このように、臨床の現場で迷いがちな症状の具体的な見極め方や日々の評価法について、映像を交えてわかりやすくお伝えしています。
毎週木曜日 朝7:00からYouTubeでのライブ配信を行っておりますので、ぜひ日々の臨床のヒントにお役立てください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ YouTubeライブ配信のお知らせ
毎週木曜日 朝7:00〜 配信をしています。
日常の臨床ですぐに役立つ情報のほか、 実技のヒントや一歩踏み込んだ評価の考え方を リアルタイムでお届けしています。
朝のひとときに、 「臨床の軸」を整える時間としてご活用ください。
───────────────────────
■ 鍼灸臨床チャンネルのご案内
YouTubeでは、 臨床の現場で役立つ情報を日々発信しています。 ぜひチャンネル登録をして、 最新情報をお見逃しなく。
鍼灸臨床チャンネル
▼ チャンネル登録はこちら
https://www.youtube.com/@五枢会鍼灸
五枢会代表 武藤由香子
https://5su.muto-shinkyu.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━