超高齢社会となった現在、パーキンソン病の患者さんが以前より増えています。
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、65歳以上では約1%前後の方が罹患するとされています。
高齢化に伴い患者数は増加しており、今後鍼灸師が対応する機会の多い疾患の一つになる可能性もあると考えられます。
今回は、私がパーキンソン病の患者さんを治療する際に重視しているポイントについてお伝えします。

【パーキンソン病とは】
パーキンソン病は脳の中脳にある黒質のドーパミン神経細胞が減少することで発症する疾患です。
原因は完全には解明されていませんが、加齢、遺伝的要因、環境要因などが関与していると考えられています。
代表的な症状としては、
・振戦(手足のふるえ)
・筋固縮(筋強剛)
・動作緩慢
・姿勢反射障害
・歩行障害
・疲労感
・便秘
・睡眠障害
などがあります。
この中でも特に患者さんの日常生活に大きな影響を与えるのが、筋固縮(筋強剛)による身体の動きの悪さです。

【筋固縮に対する治療が重要】
パーキンソン病では全身の筋緊張が強くなっています。
その結果、
・歩幅が小さくなる
・寝返りがしにくくなる
・立ち上がりが困難になる
・手の細かな動作がしにくくなる
などの症状が出現します。

一般的な鍼灸治療では、筋緊張の改善に対して遠隔取穴または局所取穴のどちらかで十分な効果が得られることが少なくありません。
しかしパーキンソン病の場合はそれだけでは不十分なことが多くあります。
私の経験では、遠隔取穴による調整と、局所取穴による筋緊張の緩和の両方を行うことで初めて十分な改善が得られるケースが多く見られます。
遠隔と局所を組み合わせることで筋固縮が緩和し、関節の可動域が改善します。

その結果として、
・振戦の軽減
・歩行状態の改善
・寝返り動作の改善
・手の動作の改善
などにつながります。

【腎虚証の治療も重要】
私はパーキンソン病の患者さんの根底には腎虚証が存在していると考えています。
東洋医学でいう腎は生命力や成長、老化と深く関係しています。
加齢によって腎の機能が低下すると、
・疲れやすい
・筋力が低下する
・足腰が弱る
・動作が鈍くなる
といった症状が現れます。
これはパーキンソン病患者さんに見られる症状と非常に共通点が多いと感じています。
そのため筋固縮や振戦といった局所症状だけを追いかけるのではなく、腎虚証に対する治療を並行して行うことが重要です。
腎虚証を改善することで、
・動作緩慢の改善
・疲労感の軽減
・歩行能力の向上
・生活の質(QOL)の向上
が期待できます。

【まとめ】
パーキンソン病の治療では、
①筋固縮(筋強剛)を改善すること
②遠隔取穴と局所取穴を組み合わせること
③腎虚証を改善すること
の3つが重要になります。
超高齢社会においてパーキンソン病患者さんは今後さらに増加すると予想されます。
鍼灸師が筋緊張の改善と全身状態の改善の両面からアプローチできるようになることで、患者さんの生活の質を大きく向上させることができるでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■ YouTubeライブ配信のお知らせ
毎週木曜日AM7:00から配信をしています。
YouTubeでは、
臨床の現場で役立つ情報を日々発信しています。
ぜひチャンネル登録をして、
最新情報をお見逃しなく。
鍼灸臨床チャンネル
▼ チャンネル登録はこちら
https://www.youtube.com/@五枢会鍼灸

五枢会代表
武藤由香子
https://5su.muto-shinkyu.com/