今回のテーマは「唾液の分泌低下」です。
口腔の状態は全身の状態を映し出し、免疫・炎症・栄養状態と密接に関係しています。
唾液量の低下は単なるドライマウスではなく、臨床で必ず拾うべき「鍵となる症状」です。

特に高齢者、慢性疾患患者、精神的ストレスの強い方に多く見られます。

【唾液分泌低下が起こる主な原因】

唾液の分泌低下は、以下の要因が複合して起こります。

1 自律神経の失調
副交感神経優位で唾液が分泌されます。
交感神経亢進状態が続くと唾液量は低下します。

2 加齢による腺組織の萎縮
唾液腺そのものの機能低下が起こります。

3 薬剤の影響
降圧薬、抗うつ薬、抗不安薬などにより分泌が低下します。

4 慢性的な脱水・栄養低下
水分やタンパク不足により分泌量が低下します。

5 感染や炎症の既往
耳下腺炎、顎下腺炎、扁桃炎の繰り返しでも機能低下が起こります。

6 ストレス
精神性ストレス、睡眠不足は副交感神経系を抑制します。

臨床では「年齢のせい」と片付けず、背景を丁寧に評価することが重要です。

【唾液分泌低下が引き起こす問題】

唾液量が低下すると以下の疾患が増加します。

扁桃炎
口内炎
齲歯(虫歯)
歯周病
誤嚥性肺炎のリスク上昇
味覚低下

唾液は抗菌作用や自浄作用を持つため、唾液が減るだけで口腔は「慢性炎症の入口」になります。
つまり、唾液の低下は局所問題ではなく、全身性リスクです。

特に鍼灸臨床では、未病状態として早期介入が可能な症状です。

【治療に用いている経穴】

唾液分泌を改善する目的として、私は主に「照海」を用いています。

照海(KI6)は腎経であり、陰液の調整、口腔乾燥、喉の違和感などに効果的です。
特に腎陰虚タイプの口腔乾燥に適しています。

単穴でも効果があるため、症状の変化が分かりやすく「鍵となる症状の検証」に適しています。

【臨床での視点】

唾液の分泌低下は、単なる副症状ではありません。
患者さんの生活の質を大きく左右する症状であり、慢性炎症の温床になります。

唾液量を改善することで、
・口腔環境が整う
・慢性炎症が減る
・免疫が安定する
という流れが生まれます。

私は患者さんの「鍵となる症状」を必ず一つ設定し、治療計画に組み込みます。
今回のテーマは、まさにその考え方に沿っています。

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【最後に】

唾液の分泌低下は年齢の問題ではありません。
背景には必ず原因があります。
鍵となる症状として扱うことで、臨床効果が大きく変わります。

ぜひ、次回の臨床から「唾液量」を診てみて下さい。
必ず大きな気づきが生まれます。