“伝える”から“一緒に変わる”へ ― 行動変容を支援するコミュニケーション実例
前回は「伝わる説明の工夫」についてご紹介しましたが、今回はもう一歩踏み込んで、患者が“自ら変わりたくなる”関わり方に焦点を当てます。
ただアドバイスするのではなく、患者の中にある意欲や気づきを引き出す。
そのために有効なアプローチを、具体例とともにご紹介します。
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🔸行動変容のステップを見極める:トランスセオレティカルモデル(TTM)
人が行動を変えるプロセスは、以下の5段階に分けて考えることができます。
1. 無関心期(変える気がない)
2. 関心期(少し意識し始めている)
3. 準備期(変えようとしている)
4. 実行期(実際に変えている)
5. 維持期(継続している)
それぞれの段階に応じて、かける言葉は変わります。
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🔸【実例】運動不足が気になる患者さんへの声かけ
🟠 無関心期:
患者:「運動とかまったくやってないですね。時間もないし。」
✅ 鍼灸師:「そうですよね、忙しいと運動まで気が回らないですよね。
“やった方がいい”と思いつつ、やれてない理由って、他に何かありますか?」
👉 相手を否定せず、内省を促す問いかけを。
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🟡 準備期:
患者:「最近ちょっと歩こうかなと思ってるんですよね。」
✅ 鍼灸師:「それ、いいですね!どのタイミングで歩こうと思ってますか?
たとえば帰り道に1駅分だけ歩くとか、どうでしょう?」
👉 行動の具体化・習慣化を一緒に考えるのがポイント。
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🔸やる気を引き出す言葉の力:動機づけ面接の考え方
❌ NG:「〇〇した方がいいですよ」「やめた方がいいです」
✅ OK:「そう思うようになったのは、何かきっかけがあったんですか?」
👉 説得するのではなく、患者の中にある“変わる理由”を引き出す問いかけが、最も力を持ちます。
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こうしたコミュニケーションの工夫によって、
患者の行動が変わり、鍼灸治療の効果がより長く、深く定着するようになります。
次回以降,「こんなケースを取り上げてほしい!」というリクエスト,大歓迎です!
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