ある主訴に対して鍼灸治療をしていてもなかなか改善していないとき、たまたま別の症状に対して治療を行っていたら主訴が改善することがあります。
この様なことは現代医学の薬物療法にも見られ、興味深いことです。
具体的には精神疾患に対するドグマチール(消化性潰瘍の薬)やパーキンソン病に対する抗てんかん剤などが挙げられます。

実際にあったケースを紹介します。
60代女性。
主訴は腸閉塞になり易いので何とかしたいというものでした。
腸が石灰化するという10万人に1人の珍しい疾患で、医師から「治療法はない。便秘にならないように下剤を使って対症療法を行います。腸の血流を良くすることが重要です」と説明されただけでした。
腸の血流を良くする目的で腹部の施灸・温灸を行っていましたが、ほとんど効果が見られませんでした。
ある時顎関節の痛みを訴えたのでその治療を行ったころから腸閉塞を起こさなくなりました。同じ頃から虫垂炎の手術痕周囲の頑固な硬結が消失しました。

治療に専門性を出すことは重要だとは思いますが、専門以外の治療を全く行っていないと、このような偶然の発見はできないでしょう。
主訴以外の症状に目を向けることで、その患者さんの体質傾向・問題点がクリアになることは少なくありません。

五枢会のセミナーでは、2020年からマイナートラブルの鍼灸治療を扱っています。
マイナートラブルとは、腰痛・五十肩といった強い痛みを呈したり、動作に制限を起こしたりするほどではないが、日常の生活で不便・苦痛を感じる症状です。
マイナートラブルの改善が主訴の改善にすべてつながるわけではありませんが、患者満足度は上昇すると思っております。