大河ドラマの「どうする家康」
では、小牧・長久手の戦いを経て、石川数正が出奔するという場面がやって来た その前のあたりから、秀吉の許を訪れた数正の表情や、戦いの勝利に酔いしれる家臣団から離れて遠くを見遣る姿に、何かしら匂わせるものがあった
古くからの忠臣であって、結束の固い家臣団からなぜ離れていったのか
歴史関係の本
を読んでみると、結局、「諸説あります」に落ち着く
ドラマの主役は家康だから、政権を把握するまでの過程は、ある程度駆け足
になるだろうが、「瀬名」として有村架純さんが演じられた築山殿の事件や信康のえがかれ方には、学校
で学んできた日本史で得たものとは大きなイメージの違いがあった
それは、明智光秀についても同様だった コロナ禍が始まって、収録が難航した2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」は、明智光秀の生涯を中心にえがかれていた
長谷川博己さん演じる光秀と酒向芳さん演じる光秀（出演回数は少なかったが）では、俳優さんの違い以上に描かれ方の違いが気になった
敬愛する歴史学者（戦国時代の今川氏や北条氏などが専門）に、静岡大学名誉教授の小和田哲男先生がいる
よく、大河ドラマの時代考証を手がけられている先生だが、以前書かれた本の中に、ドラマの演出の話があった。 「江 姫たちの戦国」で、お市が城から三人の娘（茶々・初・江）を逃がした後、柴田勝家とともに生涯を終えるという時、史実では、北之庄城は燃え
落ちていないのだが、演出で「少し、火をつけてもいいでしょうか」という言葉に、「少しの演出であれば・・・」と応じたら、盛大に城が炎上する映像に仕上がり、仲間からたくさんのお叱りを受けたということが書かれていたように記憶する
今、マスコミに幾度となく登場し、古文書から分かる歴史の真実を熱く語っている方が、磯田道史さんだ
『日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで』（磯田 道史）は、「歴史には裏がある」というまえがきから面白い
小説のプロローグのように読み進めていくことができない いたるところで、興味深い文章と新鮮な驚きに足を止めてしまうからだ 光秀の人物像、伊賀・甲賀忍者
、家康の築城計画、猫
の寿命・・・etｃ
最終章では、東日本大震災を契機として取り組まれている災害や疫病の歴史が書かれている
いつものあの心持ち早口で語られる熱量溢れる歴史の一コマが、この本には詰まっていた
世の中には、マニアックな歴史好きが結構いる
九州・立花氏の女武将として名高い、立花誾千代（ぎんちよ）が大好き
だという娘もそうだし、かつての同僚は松永久秀ファンだった。10歳の男の子は、「梶原景時が一番好き
」と言っていた
彼に鶴岡八幡宮での実朝殺害の話や大銀杏にちなむ話をすると、その倍の熱量と時間でもっと細かな解説を加えてくれたのだった 今の暑さ
に負けない熱さがみんなに共通している