台風情報が気になっている 台風7号は、ひたすらまっすぐ北上して、列島を横切る予想だ ・・・大丈夫だろうか・・・
その前の6号は、日本にゆっくり接近しては、方向を急に変え、西に・・・東に・・・と迷走した挙句、北上してきた
気象学者であり、エッセイストだった倉嶋厚さんの表現ではないが、迷っている人間のようにも感じられた 気圧の変化の中で渦巻いた雲は、・・・何処に行こうか・・・自分でも、台風として生涯の全うのさせ方を悩んでいるようにも思える。 窓から眺める空模様も、ここ数日は落ち着きがない 一面の青空があったかと思うと、みるみるうちに変わり、勢いよく雨が降り出すこともあり、「外干しの洗濯物は、早めに取り込むこと」を意識しなければならない
渦巻くように、物語の世界に引き込まれてしまう作家さんの一人に一穂 ミチさんがいる
『パラソルでパラシュート』の世界もそうだったが、『光のとこにいてね』もそんな作品だ
この物語は、「結珠」と「果遠」という二人の女性が交互に語る形式で進んでいく たまたま、母に連れられて行った団地で小学二年生の二人は出会う 二人を取り巻いている世界は、あまりにも違いすぎていた ふと、出会い、話すようになった二人。二人で遊んでいることは誰も知らない秘密
スコップを取りに帰る果遠は、結珠に、「光のとこにいてね」と伝える。 たまたま、雲が晴れ、小さな陽だまりのできている所があったのだ だが、すぐに結珠の母親がやって来て、手を取り、車に乗せて去ってしまった
ギラギラと陽射しが照りつける場所は、ずっと、そんな場所とは限らない にわかに雨のたたきつける場所になることもある。
次に、二人が再会したのは、高校生の時。偶然、果遠が転校してきたのだった
しかし、話せたのもつかの間、果遠はまたも転校していく そして、三度目の出会いは、結珠が休職し、遠い土地に夫と転居した先だった。その地で、果遠が暮らしていたのだった 二人は、出会いと別れを繰り返しながらも、「光のとこにいてね」という言葉が互いの胸から離れなかった 光があたれば、その後ろには影ができる。 でも、それぞれが影を背負いながらも「光のとこにいてね」と語りかけあえる関係性は揺るがない 揺れ動き、一つのところに留まっていないこれからを暗示して物語は終わりを迎えた
台風の進路によっては、線状降水帯ができたり、土砂災害も予想される台風の動き。 二人の人生を追った物語に天気図を重ねてみる