届いたエア・メールを一読すると、「○○が、日本にやって来る
ここに来て、会いたいと書いてある」そう、夫が興奮気味に言った 私も慌てて、彼の手紙をのぞき込んだ
そこには、日本語と英語で、来日予定と夫の都合を問うものが書いてあった 添えられた絵葉書には、画家の奥さんが描いた息子さんと思われる姿があった。
もう子どもではない青年を感じさせるような表情に、歳月が経ったことを実感した ・・・・・・彼がこの地で数年を暮らしてから、どれだけの年月が流れたことだろうか・・・・・・ コロナ禍を経て、日本人の奥さんの実家への帰省を兼ねて、この思い出の地にやって来てくれるのだ
夫は英単語を思い出しながら、返信を書いた やがて、来日が近くなると、日本語交じり英語(英語交じり日本語)で、何回かの電話でのやりとりがあった後、その日、手渡すお土産を手に出かけていった
『旅するわたしたち on the move』(ロマナ・ロマニーシン アンドリー・レシヴ 作 広松 由希子 訳)に描かれるのは、人生が、生命が歩んできた道のりだった 必要に迫られて、人間が知恵を絞り発明してきたものの数々。 山を越え、海を越え、未開の地へ・・・・・・地球を離れ、月へ・・・・・・深い海溝から世界一の山頂へ・・・絵とともに書かれた文章には、人間が歩んできた歴史とともに今も語られる。 自分の位置を確かめる地理位置情報の「ナビゲーション」についても記してあった
今から半世紀以上前に出版された『せいめいのれきし』(バージニア・リー・バートン 文・絵 いしいももこ 訳)から繋がってきたかのように感じられた一冊だった
「わたしは旅をつづける。 なつかしい風景がみえるまで。そこは、旅がはじまったところ。 そして、いつも帰るところ。 けれども、長くとどまりはしない。またすぐに、つぎの旅へと動きだす。」
イギリス人の彼は、懐かしい場所に立ち、懐かしい風景を目にし、夫と喋り、帰って行った 私たちの手もとに紙袋いっぱいのお土産を残して