「その人」をどうとらえるかはてなマーク

「人は、さまざまな姿をしている。」と言う前提で、緩やかに相手を見守ることは、できているかは別として、常々大切なことだと思っている。  立体として身体があるという意味以上に、一面を捉えて決めつけてはならないという、人としての自戒の意味があるビックリマーク

 

 この小説を読み始めて、あらためて、そんなことを突きつけられたような気がした。

 『宗歩の角行』(谷津 矢車)は、1ページ目から読者を物語の世界に惹きこんでいく!!

 江戸時代の将棋三家、御公儀に将棋の技芸を献上する御城将棋が背景にえがかれている。  幼い頃から粗末な駒を使い、板壁長屋で暮らしていた天才棋士と呼ばれた男、天野 宗歩。 「実力十三段」と言われ、後に「棋聖」と呼ばれた実在の人物がモデルだ本

 その男が若くして、遠方で亡くなった。それも、殺されたようだびっくり

 

 聞き手は尋ね廻るダッシュ  彼の師匠と世に認められている将棋家の筆頭人。 将棋のライバルとしてお互いに認め合った男。 元妻、居酒屋の店主、やくざ者、宮大工・・・・・・  江戸、上方、奥州へと時間とお金をかけて、総勢二十人びっくり  彼と関わりのある者へ聞いて廻るあし

尋ねて行く先先々で、次第に明らかになっていく彼の人生のその時の姿ビックリマーク

 ある者は、彼を酷評し、ある者は温かい言葉を口にする。 

・・・彼は、本当に殺されたのかはてなマーク  この聞き手は、どうしてこんなに聞いて廻るのかはてなマーク・・・  謎に包まれたまま、最後の場面まで疑問は解けないで、物語は駆けていく本 

「ふーあせる 読み終えた時、思ったよりも大きな声が出た。 

 

 この時代から200年。現代の天才棋士、藤井 聡太五冠は、棋聖の称号も併せ持つ。〈出雲のイナズマ〉里見女流四冠のプロ棋士への挑戦の話題とともに熱気を帯びる将棋の世界ビックリマーク そして、熱気を帯びたこの小説本