寒さ
は厳しいのに、雨
は降らない
冷たい風が吹く中で、植木鉢や菜園に水遣りをする日が多い。 日本海側は豪雪
太平洋側は乾燥や渇水
散歩コース
にある池の水位も、夏以上に低くなって、今まで見えなかった水中にあったものが姿を見せている![]()
この物語
の季節は夏
「ひと雨くれば、畑も喜ぶ」と、いった大人の会話が耳に入ってくる
どうにか間を持たせようとする大人たち
・・・さっさとこの時間を切り上げたい
・・・そんな空気が支配する![]()
母が出産を控えているから・・・ということで、大家族の中で暮らす少女
は、夏の間、牧場
を営む親戚夫婦に預けられる
兄弟が多く貧しい家庭の中では、孤独を噛みしめていた少女
口数少なく、周りの様子を見ているしかなかった
「○○したい
」という言葉とは縁のない幼い娘が、父の車に同乗して、親戚の家へと向かう場面から、『あずかりっ子』(クレア・キーガン 鴻巣 友季子・訳)の物語は始まる![]()
アイルランドを代表する短編作家のクレア・キーガンは、この作品で、デイビー・バーンズ短編賞を受賞している
その邦訳が昨秋に出版された
原題は『F
oster』だ
訳者の鴻巣さんは、この本の「あとがき」として、かなりのページをさいて読み手への解説を書かれている
原作は一人称の小説であって、少女の名前は出て来ないこと
「わたし」は7歳くらいの少女ながら、洞察力・表現力が鋭い
文体は、現在形で語られていて「同時進行現在形」という不思議さが漂う![]()
物語
を読み終わって感じたのは、情景描写の細やかさや素直な心情表現だったりするのだが、作家が意図的に削り取ってあえて表現しなかったと思えるところも見つけられた
親戚夫婦の過去だったり、少女の親との繋がり方だったり・・・そして、何より大事なのは、結末の一文の表現と解釈の仕方だ![]()
「おじさん」と「おばさん」は一言も語らないが、周りの人たちの言動から、どうも、この夫婦には息子がいたようだ
しかし、不慮の事故で幼くして息子を失っているらしい
時折、「おばさん」が見せる思いがけない表情が意味するものは![]()
無事、お母さんが出産を終え、少女の新学期
が始まる頃、両親の元へと送り届けてくれた
「おじさん」と「おばさん」。 二人に別れを告げ、車
が敷地を出ようとしている時、「わたし」は「おじさん」に向かって走り出す![]()
「お父ちゃん」という言葉と「父さん」という言葉の区別が、書かれなかった
未来を読者に想像させていた![]()
これは、ベルリン国際映画祭でグランプリ
を受賞し
、アカデミー賞にもノミネートされた映画
『コット、はじまりの夏』(2024年1月 日本
公開)の原作
だ![]()
今年も、話題作の映画公開が控えている
日本映画では、直木賞の米澤穂信さんの『黒牢城』
この歴史ミステリーがどう映像化されるのか、期待が高まる![]()
