その後、月日が経ち、高校を卒業する頃には、自分の将来を真剣に考え、進路を決めなければならない時期がやってきた。
学生時代の僕といえば、部活に夢中で、学校の成績は散々。クラスでも後ろから数えて三番目以内には確実に入るくらい、酷いものだった。当然、優秀な大学に進学できるような学力はなかったが、かといって「やりたいこと」も特にない。そんな僕が、なんとなく大学に進学してしまったら、怠惰な性格も相まって、あっという間にダメ人間になってしまいそうな気がしていた。
そこで僕は、「とりあえず国家資格を取って食いっぱぐれのない環境を作ってから、やりたいことを見つけていこう」と考えるようになり、自分の学力でも通えそうな専門学校を探すことにした。
もともと小学校からサッカー部に所属していたこともあり、スポーツトレーナーへの憧れから、理学療法士という資格に興味を持つようになった。そのつもりで、遅れを取り戻すべく塾に通い始め、必死に勉強していたある日——。
塾の塾長がこう言ったのだ。
「理学療法士より、看護師の方が給料いいよ。どうせすぐ辞めるつもりなら、給料のいい方がいいんじゃない?」
その言葉に、僕は驚くほどあっさりと心を動かされた。かつて看護師に対して軽いトラウマのようなものを感じていたことも、すっかり忘れてしまっていた。
「まあ、それもそうか。どうせすぐ辞めることになるだろうし」
そんな軽い気持ちで、僕は看護学校への進学を決めた。
その塾は推薦入試に強く、当然最初は推薦での進学を勧められた。しかし、当時の僕は学力だけでなく内申点も低く、推薦に必要な評定平均が3.5と比較的ゆるめな基準だったにもかかわらず、僕の成績は2.7程度しかなかった。こうして推薦という選択肢は、最初から消えてしまった。
あとは筆記試験で受かるしかない。そんな状況の中、周囲の友人たちからは「お前の学力じゃ無理だろ」と散々言われた。けれど僕は、その言葉に対する反発心から、「絶対に合格してやる」と意地になって勉強を続けた。
そしてついに、県内で最も倍率の高い看護学校に、なんとか合格することができたのだ。
こうして、特別な志があったわけでもなく、一時のモチベーションだけで看護学校に進学してしまった僕は、この後の学生生活で、当然のように苦労することになる——。