夏がくれた日 | 或るひとつの物語

或るひとつの物語

不定期に詩を載っけます。



陽炎に呑まれたこの街

取り残された僕達は永遠の夏を過ごす


外と部屋との温度差にうんざりしながら
溶けかけたアイスのように
消しきれない蟠りが残った

たまに吹く風にゆられた君の髪が
僕の小指と繋がっているだなんて
夢から覚めたら馬鹿らしくなるのかな


夏がくれた日のことを
サイダーのガラス玉に閉じ込める
今にも溢れそうな光集めて
眩しいあの日の僕ら


日本地図を広げて  さぁどこに行こうか
夏の大三角形は
望遠鏡の中に籠った

線香花火が落ちるよりも先に
君の瞳から流れ落ちる涙
夢なら覚めてと願うも虚しいだけ



夏に降った雨のときに
積乱雲がすべてを消し去った
青のキャンパスに色を染めて
冷たいあの日の僕ら


冷えきった身体に震えながら
君の体温を求めた

ねぇ、何処にいるの?

その声さえも五月蝿い蝉にかき消される


夏がくれた日のことを
戯れる影に変えて踏み進め
今にも崩れ落ちる摩天楼を越え
新しいこの時の僕ら

夏がくれた日のことを
灯篭と共に川へ流して
今目の前にある新たな陽(ひかり)
夏の終わりを告げた僕ら


眩しいあの日の僕ら