冬のある日。
俺と智は、まーくんに会いに来た。


冷たい風に吹かれて。

彼の前に・・・まーくんが、眠る場所に、立つ。









時は遡る。


きっかけをくれたのは風間さん。



手紙を受け取ったあの日の言葉通り、後日、アトリエを訪ねてくれた時に『相葉ちゃんのお墓参り、行きませんか?』・・・と。



自分の記憶の中だけで昇華していこうとしていたまーくんとの関係が、ここにきて、急に現実となった瞬間。







「風間さん・・・ちょっと、考えさせてもらってもいいでしょうか」


「もちろんです。二宮さんのお気持ち次第ですから。もし気になれば、いつでも連絡ください。」







まーくんの眠る場所。



俺にさよならを言わせなかった彼を訪ねることに、迷ってしまって。









その日の夜。


何だか落ち着かない、言葉に出来ない。
訳もわからず不安になった俺は、智をねだった。


とにかく肌を重ねあわせたい。
交わりたい。
混ざりたい。


その不安を智は汲んでくれたのか。
はたまた、彼の素直な欲の表れか。



智に激しく揺さぶれながら口元に寄せた左手のリング。
体温で温められた真鍮の感触が唇に迎えられる。




「カズ・・・我慢すんな、」

「ンッ、や・・・まだ、イキたくな、い・・・ッん!」

「ココ、気持ちいいか?」

「いい・・・さと、きもちいい、んぁっ・・・あぁ、、ぁん!」




ぐっと腹のオクに押し込まれた智のカタく熱い欲棒は、明らかな意志を持って一点を刺激する。


その度にビクッと不随意に痙攣するカラダ。
漏れる甘い声と熱い吐息。
オクに智の熱を感じて、またきゅっと無意識に締まる。






「カズ、甘イキしたろ・・・オレの離さねぇのな」

「だ・・・って、んっ、俺の、だもンっ」

「なにそれ、むっちゃかわいいじゃねーか」



言うやいなや、質量を増した智、は、俺を容赦なく攻め立てる。




「あっ、あァッ!さとし、ダメっ・・・いま、だめぇッ」

「ほらもう、前も溢れちゃってる」

「や、激しッ、さと・・・ッ」




ナカのイイトコロを擦られるたびにトロトロと零れる白濁が、俺の限界が近いことを知らせていた。カラダは無意識にさらに強い刺激を求めて、脚を広げ腰が揺れる。




「ほらもう我慢なんかさせねぇ、何度でもイケ」

「や・・・ッ、も、、イっちゃう・・ァあっ、あっ、んあぁッ !!」

ぎゅぅっと締まる後孔が智のカタチをありありと感じさせて。




「カズ、オレ、も・・・ッ、んっ!・・・んんっ!!」




智がビクビクと俺の上で腰を震わせる。

胸が痛いほど愛おしい。


抱かれたあとは、脳内に甘くてふわふわのモヤがかかって。

そのまま意識を落とすこの瞬間 が、あまりにも幸せで。





「さと・・・あいしてる・・・」

「ん、オレも愛してるよ、和也」




不安は溶けて、いつの間にか心が凪いでいた。智に愛されたあとは、甘く怠く、とろりとした安らぎがカラダを支配する。



智の息遣いと汗の匂い。

彼の胸に抱かれて息が整うのを静かに待つ。


なんて安全で幸せな場所なのだろう。

不安が消えた俺は、もう、心が決まっていた。

そう確信をもてば、今夜はもう悪夢になんかなり得ない。


抗わず、意識を夢へと引きずり込んだ。