俺は気づいてた。

まーくんが、なにか隠してる。

俺に気づかれたくない、何かが・・・ある。



教室や部活では明るく太陽のように笑って、友達に囲まれている彼だった。それは出会った頃から変わらない。


が、ふとした瞬間にまるで痛みをこらえるような、なにかに耐えるようにじっと一点を見つめるような、そんなことが少しずつ増えていった。



その顔は俺を甘く見つめている彼とは全く別人。
そんな時のまーくんは、いつもの熱を感じなかった。
冷たく、暗く、そして美しさすら感じた。



ただ、俺にとってその影は、俺だけが気づいている彼の憂い、と、そんな風に都合よく思い込んでしまって、それは優越感でもあり、同時に触れてはいけないような・・・とても怖いなにか。

それがひどく魅力的に思えた。


彼の孤独な、そして、何かを諦めたような、もしくは悲しみとも怒りともとれる、そんな瞬間を感じることが出来たのは、俺だけだったかもしれない。



俺はあの笑顔溢れる朗らかなまーくんの中に同居する、人知れぬ仄暗いところを知りたかった。クラスメイトになって、友達になって、そして、恋人になってまだ数ヶ月。何もかも知っている気になっていたが、また新たなまーくんの魅力に気づいたのだ。


冷たい太陽みたいな彼に惹かれて、これまで以上にもっともっと知りたくて触れたくて、とにかく側にいたかった。こんな素敵な人と俺は愛し合っているんだ、と、心もカラダも満たされた。



その想いで、まーくんで、いっぱいになった。



俺は彼が好きで、好きで・・・本当に大好きだった。




彼は脚が治ってから思い切りバスケが出来ることがよほど嬉しいようで、明るい笑い声を響かせて。ある時は、鬼気迫る雰囲気で。朝練も、放課後もいつでもボールを追いかけて、汗を煌めかせていた。そんな彼をいつでも俺は追いかけて、時間さえ合えば、若さに身を任せて、どこででも抱き合った。いつでもそばにいたいと願っていたし、彼も、俺をとても大切にしてくれていた。





・・・そう、思っていた。